不貞相手への慰謝料請求、証拠の有効性と対応方法は?
夫の不貞相手に対し、行政書士からの内容証明で慰謝料300万円を請求しました。
その後、相手方に弁護士が付き、「不倫関係にはないため請求には応じられない」との受任通知が届きました。
私が持っている証拠は、
・夫と相手が会う約束をしていたInstagramのDM
・夫が相手の家にいた事がわかる位置情報
・相手本人との電話録音
→家で2人きりで会った事、夫が妻子持ちで私が妊娠中だという事を知っていた事を認め、キス以上の事もしたと捉えられる内容の自白
・夫との録音
→ 私が「キスした?」「相手の下半身を触った?」「相手から手や口でされた?」などと質問し、夫が「うん」などと認めている内容
です。
ですがお互いに本番行為は否定しており、性行類似行為のみと主張しています。
子供がうまれたばかりなので今すぐではないが、別居または離婚を考えています。
夫は現在協力的で、必要であれば事実関係を書面にして署名してもらうことも可能です。
一方、相手は現在は弁護士を通じて「不倫関係ではない」と主張しています。
【質問】
① このような録音や証拠で、慰謝料請求を進めることは可能でしょうか。
② 夫に 事実確認書(自認書)を書いてもらうことは証拠として有効でしょうか。
③ 相手方弁護士には現時点で反論書面を送るべきでしょうか。それとも 証拠はまだ開示せず、様子を見るべきでしょうか。
④  弁護士に依頼せず本人で対応することは現実的でしょうか。
よろしくお願いいたします。
【質問①~④】について
①性的行為でなく,性交類似行為であったとしても慰謝料請求は可能です。しかも,保有している証拠は,交際のような関係にあり,少なくとも性交類似行為の存在を確実に証明できるものです(裏を返せば,証拠で認められる範囲でしか認めていないことを窺わせるものです。)。ですから,慰謝料請求を進めることでよいと思います。
ただ.慰謝料額については,婚姻破綻に至っていないとして,この点を考慮されることになるかもしれません。
②夫との今後のことを考えて書いてもらうか否かを検討するのがよいと思います。今ある証拠以上のことを証明(証明力を強めることも含む)できるのであれば,前向きに検討を進めるという考え方でもよいでしょう。慰謝料請求としては証拠として使えることが前提であり,その価値と夫との関係との均衡のように思います。
③行政書士に委任をしているのであれば,どのような内容の委任なのか不明ですが,その行政書士との協議になると思います。請求するか,訴訟にするか,その点の見極めや,相手方は性交類似行為は認めているのか,それさえも否定しているのかによって,考え方・進め方は変わってくると思います。
④性交類似行為を認めているにもかかわらず支払を拒否するのであれば,本人(行政書士でも同じだと思います。)への対応ではあまり変わらないように思います。減額で折り合えるなら本人様の交渉でもよいように思いますが,ゼロかどうかの観点であれば,訴訟に進むしかなくなるようにも思います。そうしますと,お近くの弁護士に相談して進めることを検討した方がよいようにも思います。
①:慰謝料請求を進めること自体は可能だと思われます。性交類似行為その他の性的な関係についても、その内容や程度によっては、婚姻共同生活の平穏を侵害する行為として慰謝料請求が認められる可能性があります。相手本人が、自宅で2人きりで会ったこと、夫が既婚者であり、妻が妊娠中であることを知っていたこと、キス以上の性的接触があったと読み取れる内容を録音上認めているのであれば、重要な証拠となり得ます。もっとも、具体的にどの程度の性的行為まで認定できるか、また慰謝料額がいくらになるかは、録音の具体的な内容、関係の期間・回数、婚姻関係への影響等によって変わります。請求額300万円がそのまま認められるとは限りません。
②:夫に事実確認書を作成してもらうことに意味はあります。ただし、「不貞をしました」といった抽象的な記載だけではなく、いつ・どこで・誰と・どのように会ったか・どのような性的接触があったか・何回程度あったか・相手方が既婚者であることを知っていたかなど、具体的な事実を記載してもらうことが重要です。なお、現在夫側が貴方に協力的であるという事情がありますので、相手方からは「妻に言われて作成した書面ではないか」などと信用性を争われる可能性は残ります。
③:相手方代理人から「不倫関係にはないため請求に応じない」との回答が来たからといって、現時点で保有している証拠をすべて開示する必要はありません。反論する場合でも、「当方は、相手方本人の発言を含む複数の証拠を保有しており、慰謝料請求を維持する」などと回答をしておき、具体的な証拠の開示範囲については今後の交渉や訴訟を見据えて判断する方針もあり得ます。どこまで証拠を示して交渉するかは、相手方の反応を引き出すという意味も含めて、交渉戦略の問題です。
④:本人で交渉を続けること自体は可能です。もっとも、本件では既に相手方に弁護士が就いて全面的に否認しており、今後は、証拠からどの事実まで認定できるか、性交類似行為について法的責任を追及できるか、録音のどの部分を証拠として使用するか、相手方代理人にどこまで証拠を開示するか、示談で解決するか訴訟を提起するかといった判断も必要になりますので、今後の状況に応じて弁護士への相談も検討した方がよいように思われます。