業務委託契約前開発のツール、知的財産権と解約の可否は?

【状況】
私はある会社(以下「会社」)と業務委託基本契約(2026年5月15日締結)を結び、ソフトウェアのテスト設計(QA業務)を受託しています。報酬は時間単位です。

このテスト設計を効率化するため、私は自分で作ったツール(プログラム一式)を使っています。このツールは契約を結ぶ前から個人的に開発していたもので、構築だけで100時間以上かけており、私自身の独自研究も含まれています(一部は自分の名義で技術記事として公開もしています)。開発の初回記録(バージョン管理の履歴や実行結果)も契約締結より前の日付で残っています。

これまで会社に納品してきたのは、このツールで作成した「テストケース(成果物)」だけで、ツール本体は一度も渡していません。ツールの開発・改善の作業は稼働(請求)に含めておらず、会社側からも「その開発は稼働に乗せなくてよい」と言われていました。

最近になって会社から、「このツール一式を自社側にアップロードして自分たちで運用したい。あなたの稼働は付けないが、契約は困った時の相談用に残したい」と言われました。私としては、ツールは渡さず、契約自体を終了したいと考えています。

なお契約書には、「本業務の遂行の過程で得られた成果物の知的財産権は会社に帰属する。ただし受託者が従前から保有していた知的財産権が納品物に含まれる場合は利用を許諾する」という趣旨の条項があります。

【質問】
① 契約前から個人で作っており、請求にも含めていないこのツール本体は、「業務の過程で得られた成果物」には当たらず、私の資産として保持できると考えてよいでしょうか。納品したのは出力(テストケース)だけで、ツール本体は納品物に含まれていません。

② ツールの引き渡しを断り、契約を合意解約で終了することに問題はありますか。会社が希望する「相談用に契約を残す」こと(義務は残るのに収入は保証されない状態)のリスクについても知りたいです。

③ 契約終了後、このツールを他社向けに使ったり、ライセンス・販売することに制約はありますか(秘密保持や競業に関する条項がある場合の扱い)。

以上、よろしくお願いいたします。

現在の契約書の具体的な条文(特に知財条項・秘密保持条項・競業条項・解約条項)にもより回答内容は変わってきますが、一般的な理解を前提とすれば以下のような回答になるかと存じます。

・ツールの作成・提供自体が業務委託の成果物の範囲に含まれていないのであれば、相談者様が独自に開発したツールであるため知的財産が相談者様に帰属する
・相手方の同意が得られるのであれば、契約を合意解除することも可能。ただし合意解除する場合の条項については、契約書上の他の条項との兼ね合いで不利にならないよう調整が必要
・契約を残す場合は、競業避止義務が契約上課されているのであれば、同業に納品することが難しくなるケースもある。他方で契約終了後であっても「●年間、競業避止義務が存続する」という建付けになっている場合は、契約終了後であっても注意が必要
ということになるかと存じます。
ご不安であれば、契約書類等一式を持参して弁護士の相談されることをお勧めします。