弁護士への連絡未回答、公正証書遺言の確認は可能か?
【相談の背景】
兄が主導して作成したと思われる母親の遺言公正証書の原案が見つかりました。そのため、実際に公正証書遺言が作成されているのではないかと懸念しています。
私は母から委任状を受けており、母自身も弁護士の留守番電話に「娘に一任している」旨を伝えています。
私が相談した弁護士からは、
「弁護士に対し、委任状があることを告げた上で現在の進捗状況について報告を求めてください(受任者には報告義務があります)。また、公正証書遺言が作成済みであれば、その控えの交付を求めてください」
との助言を受けました。
そこで、弁護士へ委任状をメール添付で送付し、電話でも連絡しましたが、返信がありません。
母の委任状を持つ家族として、弁護士に対し現在の進捗状況や、公正証書遺言が作成されているかどうかの説明を求めることはできるのでしょうか。
公正証書遺言が既に作成されている場合、その存在や内容の確認を求めることはできるのでしょうか。
返信がない場合、今後どのように対応するのが適切でしょうか。
公正証書遺言であれば、被相続人の方が死亡し、相続が開始した後であれば、公証役場に遺言検索を依頼して公正証書遺言の有無は確認できます。
遺言をした被相続人の生前は、遺言者のみしか公正証書遺言の確認はできません。
また、返信がない場合の対応については、いずれかの法律事務所で有料での相談等をすることをお勧めします。
ご記載の委任状は、母親から貴方に対する委任状と思われますが、照会先となっている弁護士が母親本人の依頼を受けた弁護士なのか、兄の依頼を受けた弁護士なのか、あるいは遺言作成にどのような立場で関与しているのかによって、説明を求められる範囲は変わり得るものと思われます。
仮に、その弁護士が母親本人から依頼を受けているのであれば、母親本人に対する報告義務が問題となります。母親が貴方に一任する旨を明確に伝えており、委任状の内容にも、弁護士との連絡、進捗確認、公正証書遺言の作成有無や控えの確認等が含まれているのであれば、貴方から進捗状況等の説明を求める余地はあります。
他方で、その弁護士が兄の依頼を受けた弁護士である場合には、兄の代理人という立場になりますので、貴方や母親に対して当然に進捗状況を報告する義務があるとは限りません。また、親族間で利害対立がある可能性がある場合、守秘義務や本人意思確認の観点から、委任状があるとしても直ちに内容を開示しないこともあり得ます。
公正証書遺言が作成済みである場合でも、生前にその存在や内容を誰に開示するかは、基本的には遺言者本人の意思による問題です。まずは、母親本人から弁護士に対し、「娘に進捗状況及び公正証書遺言の作成有無・内容について説明してよい」旨を明確に伝えてもらい、委任状の写しを添付して、期限を区切って書面で回答を求めることが考えられます。それでも回答がない場合には、母親本人の意思能力や真意、兄による不当な関与の有無も含めて、別の弁護士に資料(遺言書案、委任状、母親の発言内容、弁護士との連絡履歴、兄とのやり取り等)を示して相談した方がよいように思います。