研修医時代の未払い残業代、今(卒後約10年目)から請求可能か?
卒後10年程度の医師です(特定を避けるためぼかしています)。小生が研修医の際の時間外給与不払いにつき、今からできることはあるでしょうか。
当時勤務していた病院では、研修医(新卒1-2年目)には時間外給与が支払われていませんでした。勤務時間外、たとえばシフト制勤務のない平日夜中や土日の呼び出しや業務も当然に発生しており、対応していたのが実態でした。当時の出退勤記録は手元に残っています。
労働基準監督署への通報も試みたのですが、それを聞きつけたらしい病院長その他管理者職の医師から、そのようなことをするのであれば将来にわたり不利益な取扱をすると恫喝され(この部分の証拠となるような録音等はありません)その後数年同院での勤務が決定していたこともあり、やむを得ず断念しました。当時の同僚も、通報するほうがおかしい、という考えの者ばかりで、協力は得られそうにありません。
賃金請求権は時効にかかり消滅してしまったらしいことは理解したのですが、今からとれる手段はあるでしょうか。出退勤記録とカルテ記載の両方があり明らかに勤務していたと分かる分だけでも取り返したいです。
賃金請求権の時効は、2020年3月までは2年、4月以降は3年です。あなたの場合、賃金が発生してから10年経過していますのですでに消滅時効期間が経過しています。
ですので、結論としては、不可能でしょう。
早速のご回答をありがとうございます。賃金請求権の論点からは不可能とのこと理解しました。
それ以外に戦える論点(上記の恫喝・パワハラに対してなど)はありませんでしょうか? 医師のキャリア形成の観点からは、卒後3年ではとてもそのような目立った手段に出ることができず、泣き寝入りになることになってしまいます。
パワハラは法的には「不法行為」という構成になりますが、それでも「損害および加害者を知った時から3年」で時効です。なお、パワハラの慰謝料は極めて低額で弁護士費用で赤字になります(「しまむら パワハラ 裁判」で検索すると裁判例が見つかります)。
時効については、ただ時間が経過するだけでは足りず、時効の利益を受ける者が「援用」、つまり「時効を主張する」ことが必要です。この「援用」が一定の場合、信義則に反し許されないとされる場合があります(つまり時効の首長ができないので権利が認められる)。
ただ非常に例外的なケースなので、あなたの事案で時効の援用が信義則違反といえるかは具体的事情を聴いてみないと何とも言えません(一般には「ほぼ不可能」と考えてください)。
一度、当時の事情を文書化して直接弁護士に面談相談されることをお勧めします。