地下アイドル事務所の契約解除と違約金についての相談
【相談内容】
私は2025年夏頃、地下アイドル事務所と所属契約を締結しました。
しかし契約後、
・事務所所属であることを公表しないよう指示された
・グループ候補生になったが、メンバーとの連絡先交換やSNS交換を禁止された
・レッスン時に事務所のオートロック番号を教えてもらえず、開始時間になっても入室できないことが複数回あった
・唯一の連絡先である代表に連絡しても返信がないことがあった
・定期ライブでのお披露目も「候補生」としてのみで、名前の公表は認められなかった
など、不信感を抱く状況が続きました。
その後、体調不良により活動継続が困難となり、2025年末頃に退所希望を伝えました。
すると事務所からは、
「活動休止後に復帰する」
または
「契約に基づき違約金を支払って退所する」
という選択肢を提示されました。
しかし私が退所希望を伝えた後、約10日間既読無視され、その後も長期間にわたり事務所から具体的な連絡はありませんでした。
後に確認した際に、4月に連絡があり1週間以内に連絡がなければ、契約解除とし書面を送付しますと連絡が来ていました。
私は契約関係が事実上終了したものと認識し、その後別の芸能事務所から声をかけていただき、所属契約を締結しました。
すると2026年6月、前所属事務所から内容証明郵便が届きました。
内容証明では、
・契約終了の合意は成立していない
・他事務所への所属は契約違反である
・契約に基づき違約金50万円を支払うよう請求する
との主張がされています。
契約書には、
「契約期間を満了せず、一方的な理由で退所する場合、妊娠、結婚、家庭の事情、病気、体調不良、人間関係、音信不通など理由のいかなるを問わず、違約金50万円を支払う」
との記載があります。
私自身、正式な契約終了の合意を確認しないまま他事務所に所属した点は、自分に不利な事情であると理解しています。
一方で、
・事務所側の連絡不備
・レッスン参加環境の不備
・退所申し出後の既読無視
・長期間連絡がなかったこと
など、事務所側にも問題があったと考えています。
そこで、
① この違約金条項は有効なのでしょうか。
② 仮に私に何らかの支払い義務が認められる場合でも、契約書記載の違約金50万円全額が有効となるのでしょうか。
③ 事務所側の対応や実際の活動状況(候補生段階で実績がほぼないこと等)を踏まえ、減額される可能性はあるのでしょうか。
以上についてご相談したいです。
結論的には「労働者性」が認められるかどうかにより回答が変わります。
事務所との契約が雇用契約(名目が業務委託であっても実質的に雇用契約である場合を含む)である場合は、労基法の適用により違約金条項が無効になる可能性があります。
また、労働者性がなかったとしても、違約金の金額が過大であるとして無効・減額されたケースは裁判例上いくつかあるようです。
違約金50万円を当然に全額支払う必要があるとは限りません。
まず、実際の活動実態から労働者性が認められる場合には、労基法16条により、退所時の違約金条項は無効と主張できる可能性があります。
労働者性が認められない場合でも、違約金額が過大であれば、無効または一部制限を主張できる余地があります。特に、候補生段階で活動実績が乏しいこと、氏名公表も正式活動も限定的であったこと、事務所側の連絡不備や退所申出後の放置があったことは、50万円全額の請求を争う事情になります。
もっとも、契約終了を明確に確認しないまま他事務所と契約した点は、不利な事情です。
内容証明を放置せず、契約書、LINE等のやり取り、活動実績、事務所側の対応経緯を整理したうえで、早めに芸能契約に詳しい弁護士へ相談することをお勧めします。