不倫慰謝料の合意書修正案について
既婚者との交際が発覚し、配偶者側から慰謝料請求を受けています。
内容証明には、離婚の有無、不貞回数、不貞期間、具体的な証拠内容等の記載はありませんでした。
相手方は弁護士を依頼しており、慰謝料請求を受けたため100万から80万まで減額交渉を行ったところ、一定額での解決を前提とした合意書案が提示されました。
不貞の事実自体は争っていませんが、合意書の内容について確認したい点があります。
先方から提示された合意書案が下記となります。
【合意書条項】
第1条(謝罪)
第2条(慰謝料)
乙は、甲に対し、本件の慰謝料として、金80万円の支払義務があることを認める。
第3条(支払方法)
乙は、甲に対し、前条の金80万円につき、令和8年xx月xx日限り、下記口座へ振り込む方法により支払う。
なお、振込手数料は乙の負担とする。
第4条(遅延損害金)
乙が前条の支払期限までに支払を行わなかった場合、乙は甲に対し、支払期限の翌日から支払済みまで、年14.6%の割合による遅延損害金を支払う。
第5条(求償権の放棄)
乙は、第2条の慰謝料の支払いに関し、丙に対する求償権を放棄する。
第6条(接触禁止)
乙は、甲に対し、職務上の必要がある場合を除き、架電、書簡、電子メール、LINE、SNSのダイレクトメッセージ、面会その他連絡手段の如何を問わず、丙との接触を一切行わないことを誓約する。
第7条(守秘義務)
甲及び乙は、本件に関する一切の事実について、みだりに第三者へ口外しないことを誓約する。
第8条(清算条項)
甲及び乙は、本合意書に定めるもののほか、本件に関し、甲乙間に何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。
私なりに内容を確認し、第5条(求償権放棄)及び第6条(接触禁止)が気になっております。
一方で、法律知識が十分ではないため、私が気付いていない論点や、実務上注意した方がよい条項が他にもあるのではないかと考えております。
質問① 第5条(求償権放棄)及び第6条(接触禁止)以外の条項について、乙の立場から見て特に注意すべき点はありますでしょうか。
質問② 合意書全体を見た場合、一般的な不貞慰謝料の示談書として不自然な条項や、後々問題となり得る条項はありますでしょうか。
質問③ また、第5条と第6条の関係についてですが、私としては求償権を留保したいと考えております。
そのため、第6条につきましては、
「ただし、法的権利の行使又は防御のために必要な場合を除く」
との例外規定を追加しようと考えておりますが、この理解で問題ないでしょうか。
また、この文言で将来的な求償請求やそれに付随する法的手続との整合性は確保できるものなのでしょうか。
質問④ この修正を求めた場合、実務上どの程度の確率で金額の再交渉や示談決裂につながりますか?
合意書全体を踏まえたご意見をいただけますと幸いです。
1 質問①②について
第4条について、遅延損害金の法定利率は年3%(民法404条)ですが、利息制限法その他の法律を参照して年14.6%とされることも多いので、不当に高すぎるということはないでしょう。その余の各条項についても、一般的に合意書に盛り込まれるものであり、相談者様に格別不利益なものはないかと思います。
2 質問③④について
既にご存じかとも思いますが、不貞慰謝料は不貞当事者間の連帯債務であり、自身の負担部分(通常2分の1)については、一方当事者に求償できるのが原則となっております。しかし、求償金が家計から支払われることとなると、実質的には慰謝料の半額しか受け取れていない結果となるので、夫婦が離婚していない場合等には、請求者側の希望で求償権放棄の条項を置くことが多々あります。
相談者様の場合においても、請求者側に、「配偶者への求償権行使をして欲しくない」という意図があることは明らかですので、この条項を削除するよう求めたり、求償権行使を留保するような文言の追加を求めた場合には、先方が慰謝料額の増額を求めてきたり、交渉が壊れてしまうリスクはあるかと存じます(事案によるので確率としてお答えすることはできませんが)。
なお、ご記載のとおり、仮に第6条に文言を追加したとしても、第5条が残っている限り、合意書全体の趣旨から求償権を放棄したと解釈される可能性が高いので、将来的に求償したとして相手が任意にそれに応じることは期待できないかと思います。