【看護師】病院建て替えによる閉院と配置転換 自己都合退職扱いの適法性について

私は東京都内の病院で看護師として勤務しています。

先日、勤務先病院より「病院建て替えに伴う一時閉院」が予定されているとの説明を受けました。それに伴い、病院側からは系列病院への異動(病院側は「転籍」という表現を使用しています)を推奨されています。

しかし、異動候補先の多くは地方都市にあり、東京都内からの転居を伴うため、私としては現実的に異動が困難な状況です。

病院からの説明によると、

・建て替え計画はまだ具体的な段階ではない
・行政へ建て替えの届出等は行っていない
・建て替え資金の調達の目途も立っていない

とのことでした。

また、私は過去に別の病院で勤務していた際、同様に「建て替えのため閉院する」と説明されたものの、結果的には建て替えが行われず、病院跡地が駐車場となった事例を経験しています。そのため、今回の計画についても、本当に建て替えが行われるのか疑問を感じています。

なお、病院からは閉院時期について明確な説明はありませんが、2026年12月頃になる可能性があるとの話は出ています。

病院からは「今後の対応について」と題する書面が配布されており、その中では特に「雇用維持」を強調し、系列病院への異動を勧めています。

また、異動先はいずれも同一法人内の病院であり、雇用契約自体は継続する前提の説明を受けています。

就業規則には、

・「業務の都合により就業場所の変更を命じることがある」

との規定がありますが、勤務地の範囲や地域を限定する記載はありません。

また、解雇事由として、

・「病院の経営上やむを得ない場合」

との規定があります。

労働組合はありません。

退職金規程については、自己都合退職と病院都合退職で支給額に差が設けられています。そのため、退職区分が私にとって重要な問題となっています。

このような状況について、以下の点をご教示いただきたいです。

【質問①】

病院の閉院に伴い、地方都市への異動(転居が必要な配置転換)を希望せず退職した場合、法的には自己都合退職として扱われるのでしょうか。

それとも、病院の閉院や配置転換に起因する退職として、会社都合退職(使用者都合退職)等と評価される可能性はありますでしょうか。

また、雇用保険上の離職理由についても、どのように判断される可能性があるかご教示いただきたいです。

【質問②】

今回のように、

・建て替え計画が未確定であること
・行政手続が行われていないこと
・資金調達の見込みも立っていないこと

を病院自身が認めているにもかかわらず、閉院を前提として遠方の系列病院への異動を進めることについて、労働法その他の法令上問題となる可能性はあるのでしょうか。

【質問③】

就業規則には「業務の都合により就業場所の変更を命じることがある」との規定がありますが、東京都内勤務の看護師に対し、転居を伴う地方都市への配置転換を命じることは有効となるのでしょうか。

配置転換命令の有効性を判断する上で、私のケースで考慮される事情があれば教えていただきたいです。

【質問④】

病院側は「雇用維持」を強く説明していますが、実際には提示されている異動先の多くが転居を伴う遠方の病院です。

このような状況で異動を断った場合、

「本人が異動を拒否したため自己都合退職」

と扱われる可能性があるのか、それとも

「実質的には病院閉院に伴う退職」

として評価される余地があるのかについてもご教示いただきたいです。

1 質問①について
会社都合退職は、通常、退職勧奨や整理解雇等に応じて退職するような場合を指すので、専ら配置転換を理由として退職した場合には、自己都合退職と扱われるのが一般的かと存じます。最終的には、退職金規程の内容や退職の経緯に照らして、個別具体的に判断されることとなります。
雇用保険上は、転居を伴い通勤が不可能または著しく困難となる場合には、「正当な理由のある自己都合離職(特定理由離職者)」として給付制限なしで受給できる可能性がありますし、事業所の廃止という事情からすると、「特定受給資格者」に当たる可能性もあります。この判断については、実態に基づいてハローワークが行います。

2 質問②について
使用者は、就業規則に定めがある限り、労働者(契約上勤務地限定合意があるものを除きます)に対する包括的な配転命令権を有しておりますので、配転命令権の行使が権利濫用になるような場合を除き、原則として、有効なものとして扱われます。ご記載の事情は、権利濫用の判断の際、考慮される事情の一つとなります。
(仮に、本件の配置転換が、法律上の「転籍」に当たるものだとすると、労働者の同意が必要(同意なくして転籍の効力は生じない)ということになりますが、同一法人内の配置転換であるという病院の説明を前提とすると、「転籍」には当たらないでしょう。)

3 質問③について
前述2のとおり、当該配転命令権の行使が権利濫用に当たるか、という個別的判断となります。
権利濫用の判断にあたっては、①業務上の必要性、②労働者が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を労働者に負わせる結果となるか、③不当な動機・目的がないか、といった事情が考慮されます。本件においては、①閉院に伴う配転の必要性や、②転居を余儀なくされることにより相談者様が被る不利益の程度、が判断を左右する重要な要素となるように思います。

4 質問④について
本件の配置転換が権利濫用により無効になるような場合や、その拒否を理由とする退職が実質的に整理解雇と評価しうるような場合には、その拒否を理由とする解雇や自己都合退職扱いについて、その効力を争う余地は十分あるかと存じます。