貞操権侵害の慰謝料について
以前、路上でナンパしたこと連絡先を交換し、独身と偽って2ヶ月間で数回肉体関係になりました。
相手は私が独身とわかり弁護士経由で慰謝料請求をしてきています。
交際の事実はなく、結婚しようなどという発言はしていませんが、交際した、結婚式を挙げようという結婚を期待させた、と文書に書いてありました。
だいたい50〜300万が貞操件侵害の慰謝料とみましたが、慰謝料としてはだいたいいくらが妥当なのでしょうか。
交際していない等はあまり関係ないでしょうか。
相手が独身であることを信じて、肉体関係を結ぶ結果になったのであれば、相手にとっては独身であることが重要だったのですから、慰謝料請求の対象になる可能性はあると思います。
慰謝料額としては、2か月間の数回ですから、50〜100万円程度ではないでしょうか。
既婚者にもかかわらず,独身であることを偽って肉体関係を結び,そのやり取り等も証拠として残っているのであれば,貞操権侵害として慰謝料請求権が生じる可能性はあるでしょう。
金額については,ケースバイケースですが,高額にはなりにくく,50万円前後となるケースが多いように思われます。
① 慰謝料としてはだいたいいくらが妥当か?
結論から言うと、50万円前後、高くても100万円以下に収まる可能性が高いと考えられます。
貞操権侵害の慰謝料はまさにケースバイケースです。私自身、過去に既婚を隠して妊娠・出産に至らせてしまった極めて悪質な事案で、裁判所から90万円の支払いを命じる判決が出たケースを担当したことがあります。
今回の「交際期間2ヶ月」「数回の肉体関係(妊娠なし)」という状況は、その悪質な事例に比べると客観的なダメージがかなり低いと判断されるため、相手方の請求(50万〜300万円)の満額が認められる可能性は極めて低いです。
② 交際していない等はあまり関係ないでしょうか?
非常に大きく関係します。金額を下げるための重要な反論材料です。
貞操権侵害は、「独身だと信じて、結婚や真剣な交際を期待して肉体関係を持った」という実態に対して認められるものです。
「路上でのナンパ」「交際はしていない」という事実をLINEのやり取り等で客観的に証明できれば、相手側の主張(結婚を期待させた)を崩すことができ、慰謝料を相場よりさらに低く抑えることが十分に可能です。
匿名A弁護士先生
泉先生
岡本先生
お忙しいところ、ご回答ありがとうございます。
私自身反省しているところではあります。
岡本先生にご記載いただきましたが、実は、当時出会った頃から慰謝料請求がくる直前までのLINEを削除してしまっておりました。(ナンパ、交際発言なしとわかる記録を削除してしまいました。)
裁判に進んだ場合、仮に相手側が事実のない交際していた等の主張を改めてしてきた場合、こちらが崩せる証拠を呈示できないと、そのまま認められてしまうでしょうか?
tetsuさん、ご返信ありがとうございます。LINEの履歴を削除してしまったとのこと、ご不安になるお気持ちはとてもよく分かります。
結論からお伝えしますと、「こちらが反論の証拠を出せなければ、相手方の主張がすべてそのまま認められる」というわけではありません。 裁判手続きにおいて、以下の2つの重要なポイントを押さえておきましょう。
1. 立証責任は「請求する側(相手方)」にある
「交際していた」「結婚を期待させる発言があった」と主張して慰謝料を請求しているのは相手方ですから、その事実を証明する証拠を提出しなければならないのは、原則として相手方(原告)の側です。
こちらに証拠がないからといって、相手方が客観的な証拠もなしに言いたい放題言った主張がそのまま裁判所に認められるわけではありません。
2. 相手方の出す「証拠」の矛盾を突く
相手方が「交際の証拠」や「結婚を期待させられた証拠」として、何らかのやり取りや資料を出してきた場合、こちらは「その証拠が何を意味しているのか」を客観的に説明し、相手方の立証を揺るがしていくという戦い方(反論)が可能です。
たとえば、相手方の出すLINEの一部分に対して、前後の文脈や当時の状況を論理的に説明することで、「これは真剣交際や婚姻を期待させるようなものではない」と裁判所に判断してもらうことは十分にあり得ます。
ここから先は、相手方が具体的にどのような証拠を握っているかによって、取るべき戦略が大きく変わってきます。これ以上の抽象論はあまり意味をなしませんので、相手方から具体的な書面(訴状や弁護士からの通知書)が届いた段階で、一度きちんと弁護士の面談相談を受け、具体的な見通しを判断していくのが望ましいでしょう。
ご参考になれば。
非常にわかりやすいご解説ありがとうございました。
仮に削除してしまっていても、主張を立証するのは相手方であるという点に少し安心しました。
慰謝料を支払う気持ちはありますが、虚偽の主張で過大に請求されていると思いますので、面談をしてみたいと思います。
丁寧にご回答いただき感謝申し上げます。