離婚時期の偽りによる婚姻取消について
夫とは2024年の4月から交際し、2025年5月に入籍しました。
夫はバツイチで交際中に前妻とは2年前に離婚していると聞いていましたが、入籍後に戸籍を取り離婚が成立した日が2025年の2月末であることが発覚しました。
私は既に離婚していると聞いていたので交際し結婚しましたが、交際期間中にまだ籍が抜けていなかったことがあり得ません。
こんな大事な事を嘘を付かれ、パートナーとしての信用を失いました。
私は婚姻取消をしたいと思ってますが、離婚時期を偽られていた事を理由に婚姻取消は認められますでしょうか?
また、婚姻取消が出来なかった場合は離婚を考えてますが、この場合慰謝料を請求することは可能でしょうか?
ご回答有難うございます。
正確には、離婚調停中に私と交際を続けていました。
交際中は、お互い1人暮らしで何度も彼の家には泊まりがけで行っており、同居家族もなく既婚者であったことに気づくことが出来ませんでした。
離婚調停中だと知っていれば交際を続けることも結婚することもありませんでした。
婚姻においては、自分を少しでも良く見せるために自己の経歴や身分情報について多少の虚偽や誇張が混じることは多いため、単に「聞いていた話と違う」だけでなく、その事実の錯誤が婚姻関係維持において重大なものと評価できるかどうかが重要であると一般的に解されています。古い裁判例ですが、配偶者が過去の病歴(精神疾患)を隠していた事案や、30歳近く年齢を偽っていた事案で詐欺取消しが認められたものがあります。一方、単に不利益な事実を隠していたというだけでは、当然に詐欺による婚姻取消しが認められるわけではないという傾向があります。
本件の場合、離婚した時期についてあなたを錯誤に陥れている事案となりますが、これが婚姻関係維持において重大と評価されるかどうかは個別判断になるように思われます。特に本件では、交際を開始した時期に未だ離婚が成立しておらず、相手方の配偶者から不貞行為を主張されるリスクがあり、仮にあなたが交際期間中にその事実に気付いたとすれば貞操権侵害を主張することが可能であったかもしれません。交際期間中に相手方が婚姻中でないことが重要と評価されれば、婚姻取消しの可能性はあることになりますが、婚姻取消しは裁判例が少ないため、やってみなければ判らないところがあります。そのため、主位的請求として婚姻取消しを、予備的請求として離婚を求めることも視野に入れて検討した方がよいかもしれません。
なお、婚姻取消しの効果は婚姻無効とは異なり遡及しないため、離婚と同様に婚氏続称や財産分与も認められ、戸籍の処理についても離婚と同じである(戸籍法19条が適用されるため婚姻と婚姻取消しによる戸籍変動が残る)ため、実質的に離婚と同じであり、戸籍の「見映え」を気にする場合は、婚姻取消しとするのか離婚とするのかを検討した方がよい場合もあるでしょう。
慰謝料を請求できるかどうかですが、婚姻前の「貞操権侵害状態」をどのように評価するのかが問題になりそうです。結果として相手方は離婚して婚姻には至っていますので、仮に慰謝料請求が認められるとしても金額がどうなるのかという観点も必要になってくるように思います。
見通しについては、弁護士へご相談いただいた方がよいと思います。