学校内での著作物利用
学校の図書室内で企画展示をします。「アニメ化された小説」展というものです。
原作小説の横に、アニメの公式サイトや、劇場アニメのポスター画像などをダウンロードして、サイト名などを記入の上掲示します。一冊の小説につき手のひら大の画像一枚です。生徒と教師しか見ません。期間は1ヶ月です。これは著作権違反なりますか?
また、もし、保護者もみるような廊下に掲示した場合はどうでしょうか。
すべて、公立中学校内で、学校司書が行うことで、授業の一環や委員会活動、PTA活動ではありません。目的は読書推進です。
理屈の上では、著作権侵害(複製権侵害)となる可能性が高いです。
ポスター画像などの著作物は、印刷などして複製すること自体が原則違法となります。一定の場合には複製も許容されますが、ご相談のケースでは、私的利用の範疇を超えており、また授業の過程で用いるわけでもありませんので、許容される類型には該当しません。
なお、よくある誤解として「営利目的ではないから大丈夫」というものがありますが、非営利目的の場合であっても複製は許されません。
もっとも、理屈上は著作権侵害となってしまいますが、現実的には黙認されているケースがほとんどです。
著作権者の側からしても、本件のように営利目的でもなく小規模でやっていることについて、いちいち指摘すること自体労力がかかりますし、そもそも大々的にやっていなければ発覚することさえありません。
ただし、弁護士として著作権侵害をしてもよいとは申し上げ難いので、確実に適法に実施される手段としては、ポスター画像等の著作権者(多くの場合は配給会社・製作委員会)にご連絡いただき、事情を説明の上で許諾を取得される方法もございますので、ご検討ください。
著作権法35条および改正著作権法35条の範囲内だといって使う司書さんもいます。それでも違法は違法なのでしょうか。
「改正著作権法第35条運用指針」(https://sartras.or.jp/unyoshishin/)では、同条にいう「授業」を「学校その他の教育機関の責任において、その管理下で教育を担任する者が学習者に対して実施する教育活動」と定義しています。 該当例として講義・実習、特別活動(学級活動・クラブ活動・学校行事等)、部活動、課外補習授業等を、該当しない例として自主的なボランティア活動・保護者会・PTA活動等を列挙しています。
本件をこれに当てはめますと、
①主体である学校司書は、学校図書館法第6条第1項上「専ら学校図書館の職務に従事する職員」と位置づけられ、運用指針にいう「教育を担任する者」に該当しません。
②活動内容も、特別活動・学校行事等ではなく、図書館独自の読書推進活動であり、該当例のいずれにも当たりません。
したがって、本件展示は「授業の過程」要件を満たさず、35条による適法化はできないと考えられます。
ただし、繰り返しになりますが、ご相談のケースのような事案が裁判沙汰になることが現実的にはほぼないため、今後も裁判例が積み重なる可能性がきわめて低く、どちらの解釈が正しいのかについて司法の判断が下されることがないものと思われます。