不貞行為の慰謝料請求における相手への対応策について
■現在の状況
属性: 結婚3年目、子供なし。
不貞の内容: 期間は約2ヶ月。夫が自白済みで、念書・自白書あり。
相手の属性: 独身、正社員(年収340万円程度)、実家暮らし。
進捗: 弁護士を通じて300万円の慰謝料を請求する通知書を送付。相手から回答書が届いたところです(相手に弁護士はついていません)。
■相手からの回答内容(要約)
(夫と)関係があったことは認める。心配・迷惑かけて・不愉快な思いをさせて申し訳ない。
しかし300万円は資力的に不可能。支払えば生活が破綻する。
300万円の根拠(期間・内訳等)を詳しく提示してほしい。
今後の連絡は実家への郵送ではなく、指定のメールアドレスにしてほしい。
■相談内容
相手の回答に反省の色が見えず、こちらの生活や精神面を壊された側として、相手の「生活破綻」を考慮するつもりはありません。すぐに減額に応じる気もなく、徹底的に対応したいと考えています。担当弁護士との打ち合わせが来月以降と、かなり先になるため、事前に以下の3点について専門的な見解を伺いたいです。
① 借入による支払いの催促について
相手は資力がないと言っていますが、金融機関等から融資を受けるなりして工面するよう促す(強制ではなく交渉として)ことは可能でしょうか。
② 連絡手段の継続(郵送)について
相手はメール連絡を希望していますが、実家暮らしである相手への精神的プレッシャーも兼ね、今後もあえて書面を自宅住所宛に送り続けたいと考えています。相手の希望を無視して郵送を継続することに法的なリスクや、不利になる点はありますか?(返信自体はメールで受け取っても良いと考えています)
③ 根拠の提示要求への対応
相手が「根拠を詳しく教えろ」と言ってきているのは、こちらの出方を探っているように感じます。この段階で、夫の自白内容などの詳細をどこまで開示すべきでしょうか。
①促すことは問題ありませんが、相手が決めることですから、嫌と言われればそれで終わりです。
②相手の親に事件を伝えること自体が不法行為になる可能性はありますが、訴訟等になったとき、
その嫌がらせを逆手に、いろいろ言ってくる可能性はあります。
③不貞期間2か月ですと、300万円は相場をかなり超えているので、300万円を相手になっとくさせる
のであれば、それなりの説得的な事情を開示する必要はあるかと思います。
①:「借入れをしてでも払ってほしい」と交渉の中で求めること自体が直ちに違法とは限りません。ただ、相手に資金調達を執拗に迫ったり、生活破綻を承知で圧力を強めたりすると、後で交渉態様が問題視されるおそれがあります。特に、すでに弁護士に委任しているのであれば、今後の要求内容や表現はご本人判断ではなく、代理人を通じて整理した方が安全です。請求額300万円を維持して交渉すること自体は可能ですが、「借金してでも払え」という言い方を前面に出すのは得策ではないでしょう。
②:相手に代理人が付いていない場合、住所宛てに書面を送ること自体は通常可能ですし、郵送を通じて交渉するという進め方も十分にあり得ます。もっとも、「実家暮らしである相手への精神的プレッシャーも兼ねて」という発想で郵送を続けるのはお勧めできません。交渉の目的が権利実現ではなく威迫と評価されてしまうと、相手に反発材料を与えやすく、訴訟になった際にも印象が良くありません。記録化や到達確認のために郵送を使うというのはあり得ますが、相手がメール送信先を明示しているなら、以後は代理人と相談のうえ、必要な正式文書だけ郵送し、通常連絡はメールに切り替える方が無難でしょう。
③:300万円の根拠説明を求められた以上、一定の説明はした方がよいです。ただし、この段階で夫の自白書面や全証拠を一式開示しなければならないわけではありません。通常は、婚姻期間、不貞期間、発覚経緯、精神的苦痛の内容、婚姻関係への影響など、請求額の基礎事情を整理して示し、証拠の詳細は必要に応じて訴訟段階で提出するという方針も十分あり得ます。相手が「こちらの出方を探っている」面はあると思われますので、手の内を過度に明かさず、しかし根拠がない高額請求だと思わせない程度には説明する、というバランスを意識した方がよいでしょう。300万円請求を直ちに下げる必要はありませんが、「徹底的にやる」というより、違法・過剰な圧力と見られないように、請求根拠を整理しつつ、支払方法や分割案を含めて主導権を持って交渉するのがよいと思われます。
【担当弁護士との打ち合わせが来月以降と、かなり先になる】理由が不明ではあるのですが、弁護士とよく方針を検討した方がよいでしょう。
相手に借り入れしたうえで支払いをすることを提案することは,ともすれば弁護士を使って借り入れをしてでも支払うように脅された,等の主張のきっかけともなり得るものであり,行わない方が良いように思われます。減額をするつもりがないことは問題ありませんので,交渉方針については弁護士としっかり打ち合わせをされた方が良いでしょう。
嫌がらせ目的で住所へ送付を継続するということはできませんが,相手がメールを希望しているからと言って住所へ送付したことがただちに問題となるわけではありません。メールの場合届いているかの確認や,内容を確認しているかの確認も出来ないため,重要な書類については郵送を行う方が良いように思われます。ただ,通常の金額面での交渉等については電話で行う等相手の事情への配慮を一定程度されることも検討されると良いでしょう。
根拠について,証拠を全部開示する必要はありません。ただ,判例の引用や,不貞行為の行為態様についてこちらが把握していること等を含め,一定の根拠については伝えたほうが話が進みやすいでしょう。
いずれにしても事情を一番把握しているのは依頼をされている弁護士でしょうから,しっかりと打ち合わせをされた方が良いかと思われます。