システム開発トラブル:顧客協力義務違反の可能性と対策は?

【相談内容】

現在、当社のWEB受発注システムの開発を巡り、システム会社との間でトラブルが発生しており、契約解除や訴訟を示唆されています。
当社としてどのように対応すべきか、法的観点からアドバイスをいただきたくご相談させていただきます。

【契約の概要】

約1年前に、当社のWEB受発注システム開発についてシステム会社と「開発業務請負契約」を締結しました。
契約時には以下の書類を取り交わしています。

・開発業務請負契約書
・機能一覧(開発対象機能の一覧)

当初の完成予定は「今年1月」とされていました。
しかし、その後システム会社より「開発が遅れており、約2か月程度遅れるため3月中の完成予定になる」との説明を受けていました。

なお、契約金額は300万円で、頭金として、100万円支払してます
【現在の状況】

今月に入り、システム会社から以下の主張を受けています。

・当社担当者の対応が不十分であり「顧客協力義務違反」がある
・契約時の機能一覧と比較して「機能が大幅に増加している」
・そのため予定通りの開発ができず、契約解除または訴訟になる可能性がある

【当社の認識】

当社としては、上記の主張には疑問を感じています。

① 打合せについて
当初、システム会社の担当者から「双方忙しいため、対面での打合せは月1回程度で進めましょう」との提案があり、その頻度で打合せを行っていました。
また、システム会社からの質問事項や確認依頼については、概ね2週間以内には回答しており、開発に協力していないという認識はありません。

② 機能増加について
開発途中の打合せの中で、システム会社から「この機能は追加費用が発生する」と説明を受けたものについては、当社としては社内確認が必要であり、費用面の理由から採用を見送っています。
そのため、当社としては契約時の機能一覧から大幅な機能追加を行ったという認識はありません。

【現在の懸念】

システム会社は、システムが契約期間内に完成しない理由を当社側の問題(顧客協力義務違反や機能増加)と主張し、契約解除や訴訟の可能性を示唆しています。

しかし当社としては、

・担当者の対応が「顧客協力義務違反」に該当するとは考えにくい
・機能追加についても合意していない

と考えております。

【相談したい内容】

このような状況で、当社が「顧客協力義務違反」と判断される可能性はあるのでしょうか。

追加費用が必要と説明された機能を採用していない場合でも、当社側の責任とされる可能性はあるのでしょうか。

システム会社が契約解除を主張した場合、どのような法的対応が考えられるでしょうか。

今後の対応として、どのような証拠や資料を整理しておくべきでしょうか。

契約書、機能一覧、メールのやり取りなどの資料は手元に保管しています。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご助言をいただけますと幸いです。

システム開発は、ベンダとユーザの共同作業という側面を有しており、ユーザはベンダに対して「協力義務」を負うというのが裁判例の通説的な見解です。

打合せが「月1回」であった点については、それがベンダ側からの提案によるものであり、かつ開発に必要な情報共有に不足がなければ、直ちに義務違反とは言えません。

機能追加を巡る紛争において、ベンダ側の責任が否定されるのは、ユーザが当初の契約
段階で客観的に想定されていた開発規模を超える内容を求め、かつ追加費用の負担にも応じないことで要件定義が確定しなかったような場合です。
本件では、ご相談者が追加費用の説明を受けた機能を「採用見送り」としている事実は、不当な機能追加要求を行っていないことを示すものといえます。また、当初の契約金額で過大な開発を強いているわけではないため、ベンダ側の主張には根拠が乏しい可能性があります。

ご相談者がベンダからの追加費用の提案を拒否し、合意済みの機能一覧の範囲内で対応している限り、単なる打合せ頻度や回答のやり取りのみをもって協力義務違反と認定され、全責任を負わされる可能性は低いと考えられます。むしろ、納期遅延が生じている現状においては、ベンダが適切にプロジェクトを管理し、期限内に完成させるための働きかけを十分に行っていたか(プロジェクトマネジメント義務)が問われることになります。

ご参考ください。