パワハラ被害で会社の安全配慮義務違反を問えるか?時効は?

パワハラ事案についてご相談です。

約3年前(2023年1月頃)に、娘が勤務先で刃物を用いた威圧行為等のパワハラを受けました。その後、会社との話し合いの場が設けられ、加害者本人も会社側も当該行為について認めています。会社側は加害者へのヒアリングも実施済みです。

しかし、その後は実質的な処分や十分な再発防止措置が取られたとは言えず、オーナーと個別にやり取りを続ける形になりました。オーナーには持病があるとのことで、こちらも一定期間配慮し時間を置いていましたが、最終的には何の説明や正式な対応もないまま連絡が途絶え、事実上放置された状態です。

不法行為(民法709条)であれば「損害及び加害者を知った時から3年」と理解しており、2023年1月に認識しているため、3年の時効は今年1月で経過している状況です。

そこで質問です。

① このように、会社が事実を把握しながら十分な対応を取らなかった場合、安全配慮義務違反(債務不履行)として会社を提訴することは可能でしょうか。

② 安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効は「権利を行使できることを知った時から5年」と理解していますが、本件のようなケースでも5年が適用されると考えてよいのでしょうか。

③ 会社が事実を認めている場合でも、「不法行為の3年時効が経過している」ことを理由に、会社責任も否定される可能性はありますか。

ご教示いただけますと幸いです。

時効関係の規定は、2020年4月に改正されており、事案によって旧法の規定が適用されたり、新法の規定が適用されるため注意が必要です。以下それを前提に回答します。

①社内のパワハラについての責任を会社に問う方法としては、ご指摘のとおり安全配慮義務違反構成や就労環境配慮義務違反構成をとれる可能性はあります。

②①構成のとき、ご指摘のとおり新民法下では5年となります。
ただし、労働契約が2020年3月31日までに締結され、今も同契約に基づいて労働している場合は、義務違反が、法改正後でも前記経過規定により旧法の時効期間が適用され10年になる可能性があります。

③この点誤解がありますが、2023年1月に起きた不法行為については人の生命・身体侵害についての損害賠償請求権は3年でなく、5年です(民法724の2)。