不当解雇のリスクと解決策:経歴詐称社員の即時解雇問題
年商2000億円の不動産会社人事部長です。
営業成績が悪く、経歴詐称が判明した、無期限雇用の中途採用者(年俸900~1200万円)を3名、指導・教育なく即時解雇しました。
その後、各人から弁護士名義の「解雇無効」の内容証明が届きました。
※いずれの者も、
履歴書に、
正社員で営業をしていたのに、
業務委託営業をしていたと記載しておりました。(その会社は不動産界でもブラック企業で有名だったので、隠したかったものだと思われます。)
質問!
①解雇の有効性について
経歴詐称を理由に、指導・教育なしで即時解雇した場合、法的に解雇は有効と認められる可能性はどの程度ありますか?
経歴詐称の重大性の判断として、
具体的には、どのような虚偽内容(例:役職・資格・実績の偽り)が解雇を正当化するレベルとされますか?
②弁護士から内容証明が届き、
裁判リスクと現実的な解決策
裁判になると、会社側が負ける可能性は高いでしょうか?
もし和解を目指す場合、どのような条件(例:追加退職金の相場)が現実的ですか?
法的リスクを最小化する手順について教えてください。
①解雇の有効性に関して、今回の即時解雇は、裁判において「無効」と判断されるリスクが一般的には高いと思われます。
その理由は、日本の労働法が求める「解雇の正当性」のハードルに照らし、以下の3点が不足しているためです。
まず経歴詐称の程度があります。 「正社員を業務委託と記載した」事実は、履歴書の信憑性を損なうものではありますが、職務遂行に必要な資格や学位の詐称、あるいは重大な犯罪歴の隠匿とは異なり、職務遂行能力そのものの根幹を揺るがす詐称とまでは評価されにくいため、解雇を正当化するほどの「重大な虚偽」とはみなされる可能性は低いでしょう。また成績不振へのプロセスにおいて、 高額年俸の中途採用者であっても、一度の警告や改善機会(PIP等)の付与もなく、成績不振を理由に即時解雇することは、裁判所から「手続的相当性を欠く」と厳しく判断される傾向にあります。さらに即時解雇の過酷さがあります。解雇は「最終手段」です。指導・教育や配転検討、退職勧奨といった段階を一切踏まない判断は、解雇権の濫用と評価される可能性が高いです。
②和解を目指す場合、相手も弁護士が就いているのであれば解決金の交渉を行うことが一般的でしょう。
金額としては月給3か月分~6か月分程度の提示から交渉を始めることが多いでしょう。
ありがとうございます。
先方は年収5年分で解雇に合意すると言っております。
どうなりますか?
3ヶ月の支払いで良いのですか?
経歴詐称を理由とする解雇事件で、使用者側と労働者側の両方で代理人として労働審判をした経験があります。
労働審判では短期解決を優先するため、必ずしもありとあらゆる証拠を十分に吟味するわけではなく、担当裁判官の個人的な考え方にかなり影響を受けるのですが、その時の裁判官の考え方では、採用判断に影響があるかどうかが基準となっているようでした。
ご説明の事情からすると、単に前勤務先がブラック企業だったというだけでなく、他の事情(例、解雇、退職勧奨など)があった可能性がまだ否定できないように思います。採用判断に影響のある事情が見つかれば、交渉の方針は大きく変わる可能性があります。採用してみたら営業成績が悪かったというのも、過去の営業成績に関する説明に虚偽があった可能性を推認させます。
代理人弁護士が年収5年分という途方もない金額で揺さぶりをかけて来ているという事情を考えると、私が使用者側代理人なら、対応方針を決める前に前職の事情を調査して本格的な交渉に臨むと思います。
なお、年収5年分を要求するような労働者や代理人弁護士に対応するには、単に金額交渉だけではなく、解雇撤回を含む様々な交渉をするのが有益です。
いずれにせよ、時間をかけずに素早く判断してアクションを取る方がバックペイを増やさず対応できるので、迅速に判断するのが良いと思います。