子供を相続から外しつつ友人に財産を譲る方法の法的有効性は?
一人暮らしの老人です。妻も親戚もほとんどおりません。事情は複雑なので省略しますが、行状、態度がひどい私の子供には相続させたくありません。相続除外も遺留分は残りますし、慈善団体などへの寄贈も考えましたが、タイミングが難しい。
そこで私の考えたのが、赤の他人の友人Aに、財産を2つの方法で譲るのです。1つは譲渡、もう一つは貸与です。たとえば、1000万円をAに譲渡する一方、300万円を借用証書を交わし貸し付けます。私が死ぬまで何も起こらなければ、両方プレゼントになります。仮に私が歳をとって、介護の費用などが足りなくなった場合、300万円を返済してもらうのです。
後見人を弁護士さんに依頼し、借用証書も取り交わします。こうすると、いざというときは300万が手に入ります。友人Aは1000万を得て、喜んでくれると思うのです。素人考えですが、この方法は法律面で有効でしょうか? これ以外に、子供に相続させず、かつ老後資金をうまく使う方法があればご教授ください。
色々とお考えなさっているのですが、知人Aから300万円が返ってくる保証はありません。
将来の生活を前提としたやり方は複数ございますので、まずは弁護士にご相談された方が宜しいかと思います。
ご検討中の方針については一定の有効性はあるものの、リスクも大きいと思われます。生前贈与1000万円は有効でも、300万円の貸付が実質的に返済意思のない仮装と見られると、相続時に「贈与」と評価され、子から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
その他の方法として考えられるものとしては、
①信託(家族信託・目的信託)
財産を信託口に移し、受託者(信頼できる友人や専門職)に管理させ、
・生存中はあなたの生活費・介護費に優先充当
・残余を友人や慈善団体へ
と使途を厳格に指定。相続ではなく信託帰属になるため、子の関与を大きく排除できます。
②遺言+生命保険の組合せ
生活資金は手元に残し、余剰資金で受取人を友人・団体にした保険を活用。保険金は相続財産とは別枠で、遺留分対策にも有効と思われます。
③負担付死因贈与
「介護・見守り等を条件に、死亡時に財産を渡す」契約。条件不履行なら無効にでき、老後の安心を担保できます。
④ 寄附予約+解除条件
慈善団体への寄附を予約しつつ、資金不足時は解除できる条項を設定。
などがあり得るかと思われます。
事実上生前に友人Aに贈与するということのようですが、全くお薦めできません。
贈与してから1年経過すれば、お子さんらの遺留分の対象とならないということを前提とした発案だと思いますが、贈与税の問題を差し引いても2つ問題があります。
①独居老人の資産1300万円はいまどき決して多い金額ではありません。
年金もそれなりにあるということなのでしょうが、今しっかりしているご相談者が今後10年以上生きておられる可能性も鑑みると、月10万円ちょっとです。
まして今後介護の必要が出てきた場合などに300万円ですむとお考えのようですが、つまり物価高の進行や場合によっては施設など300万円と1300万円では選択肢も大きく変ってくるということです。
つまり生前贈与などしなくても、お子さんらへそんなに残らないと思っていた方がよいということです。
②次にお金を受け取った友人Aの態度の変化の可能性です。
お金を受け取っても態度が変らないと少なくともご相談者は信じているからこその発案だと思いますが、渡したあと仮に友人Aの態度が変って、あなたの気も変った場合、あとから返して欲しいと言っても贈与してしまったお金は返ってきません。
場合よっては消費貸借としての300万円すら返さないといったトラブルの可能性もあります。
なので、遺言書を作成する方法しかないと思われます。
もちろん遺留分はありますが、上記のようにあまり残らないと思われた方が良いと思います。
確実に履行されるために公正証書で作成するのをお薦めします。
もちろん公正証書遺言でも、常に新しい遺言が法律上優先しますので、変更は容易です。
金額を1300万にしたのは、実際の額は伏せたほうがいいと考えたためで、あくまで仮の数字です。実際には億の額です。
また、1000万は友人へのプレゼントです。それによって実際的に長男へわたる金銭を減らすことが決定的なものとなるからです。悪事を働いている長男に金銭が行くぐらいなら友人に渡してしまった方が世のためになるからです。
遺言書の件はわかりますが、その場合でも長男に数千万がいきます。それを防ぎたいのです。
「事情は複雑なので省略しますが、行状、態度がひどい」内容がどのようなものかによりますが、長男に子どもがいない場合や、長男の子どもが相続することに拒絶感がない場合は、相続人の排除の申立ても考えられます。
他の先生も述べられているとおり、遺言書を作成した上で、遺留分請求も排除するには、推定相続人廃除の決定が必要となりますが、その廃除決定の成否をおいても、長男に子供がいたりすれば、つまりお孫さんは遺留分の請求ができます。
となると、ご相談者のように長男よりも「赤の他人の友人A」に生前贈与という形で贈与したいということですから、それに対する贈与税の負担も考えられている以上、生前贈与することに問題がないということになります。
そして、生前贈与から1年以上経過してご相談者が亡くなられば、「赤の他人の友人A」は、原則として長男からの遺留分の請求を免れます。
ただ、ご相談者は長男の遺留分を害することを知って生前贈与を行うわけですが、「赤の他人の友人A」も長男の遺留分を害することを知っていた場合は、10年以上経過しても遺留分の請求が出来てしまうので、「赤の他人の友人A」が、贈与時において、ご相談者の遺産状況や生前贈与の動機を知らないことが必要です。
主張立証責任は、請求者である長男となるわけですが、ご相談者が亡くなられたあとに、金額が金額だけに長男は「赤の他人の友人A」に悪意があると推測のうえ、提訴するといった紛争の可能性は多分に残りますので、例えば贈与の金額を遺留分を侵害しない(半分以内)程度に押さえ、ご相談者が今後生活に必要な金額(その判断が本当は一番難しいところで、多めに設定してその管理を信託にするかなどはさておき)を差し引いた残りは、寄付(生前贈与)や(例えば、寄付や援助を目的とする)財団法人の設立という形でも良いかと思われます。
寄付であれば、少なくとも受贈者が贈与者の遺産状況や生前贈与の動機を知らないのが普通なわけですから知っていたとの立証の困難さから、そちらについては寄付(生前贈与)から1年を経過した時点で遺留分の請求を免れることとなり、その後の長男による遺留分減殺請求のおそれも激減します。
もちろん「赤の他人の友人A」には、生前贈与時において、将来の寄付の予定も教えないこととなります。
ありがとうございました。この相談以外に、長男が占拠、無断居住しているマンションからの立ち退き問題があり、これをまず解決し、追い出しに成功した後、相続問題に取り組む所存です。その節はよろしくお願いします。