ブランドの独立を考えています。

私は、事実婚関係にあった彼の会社を事業の受け皿として、自身の資金を拠出しブランド事業を立ち上げました。

立ち上げ当初は、個人事業として進める予定でしたが、
倉庫費用や人件費などの固定費がかかるという理由から、彼の提案により彼の会社を利用する形となりました。
その際、商品開発費・製造費・研究費等は私自身が負担しており、ブランドの企画・運営・実務は一貫して私が担ってきました。

ブランド立ち上げから4年が経過し、約2年前から彼の会社の業績が悪化したことを理由に、
「私のブランドから資金を出してほしい」「会社のお金として回したい」という要求を受けるようになりました。

しかし、ブランド事業の資金を抜くことは、
• 追加生産ができなくなる
• 新商品の開発や研究に使う資金がなくなる

という致命的な問題があるため、その旨を伝え、応じられないことを説明してきました。

その過程で、彼から感情的に
「会社から外れたら?」
と言われたことがあり、私はその言葉をきっかけに、将来的に事業を独立させる必要性を考えるようになりました。
年末に改めて事業の在り方について話し合いをしようとしたところ、彼は激怒し、
「1月末でブランドを含めすべて出ていけ」
と一方的に告げられました。

その後、私は直接会って話し合いをしたい旨を何度も伝えましたが、
すべて未読・無視の状態が続き、約2週間一切の連絡が取れない状況となりました。

「1月末までに退去しなければならない」と言われている以上、放置することはできないため、
税理士に相談したところ、
• 事業の継続性
• ブランドの帰属
• 商標権の扱い

について整理が必要だとの判断になりました。
その流れで弁理士を通じ、
商標権の無償譲渡を含む案を、あくまで「協議のたたき台」として彼に提示しました。

しかし彼からは、
「無償での譲渡はありえません」
という返答のみがありました。

私はその案が最終決定ではなく、
実際に会って話し合いをした上で条件を詰めたいと再度伝えましたが、
現在に至るまで、話し合いの場には一切応じてもらえていません。

ご承知のとおり、弁理士は知財の専門家(出願権利化を主たる業務とする先生が多い)ではありますが、代理人として相手方と示談交渉する権限がありません。知財を得意とする弁護士を通じて、相手方との示談交渉を進めていくことになります。商標権の価値を把握するのは容易でないですが、一つのアプローチとして、コストアプローチがあります。すなわち、相手方の会社が商標権取得費用を負担したのであれば、当該費用と同じ金額で商標権を購入します。

商標権の費用は私が負担しました。
知財を得意とした先生がよろしいのですね、ありがとうございます。

お話を伺う限り、問題の本質は感情的な側面にあると思われますので、何らかの計算方法で「これが合理的な商標の価値だ」と提案したところで、相手方が「それでは低すぎる」と思えば合意は難しいでしょう。

そうすると、順調な事業でも発展的にブランド名を変更することはあり得ますので、ブランド名の変更にかかるコストを計算し、その金額の範囲で買取りの提案をし、合意が難しければブランド名の変更に踏み切るというのが順当な考え方ではないでしょうか。設備等に関しても同様です。既存の設備を買い取る場合に、新規調達した場合のコストの範囲内で提案すればよいでしょう。

ポイントとしては、ブランドや設備の価値を測るときに、ブランドのオーナー自身が独立する際にブランドや設備を買い取る場合と、全くの第三者がブランドや設備を買い取る場合では、考え方に違いがあるはずです。前者であれば、ブランドや設備のオーナーは変わらないので、取引先や固定客に対して事業の本質が維持される旨の告知を十分に行うことで、ブランド名の変更や設備の再調達による負の影響を最小限に抑えることが可能でしょう。後者の場合は、オーナーが変わることにより取引先や固定客が離れるリスクを考慮して、ブランド名や設備を維持することの価値は高く評価されるでしょう。

弁護士を通じた示談交渉を進めるとしても、譲渡交渉が成立する場合のシナリオだけでなく、相手方との合意が得られない可能性を考慮した独立シナリオを検討したうえで、二面作戦で対処する必要があろうかと思います。