転職に関わる競業避止義務の相談及び、悪質な名誉毀損に対する損害賠償請求

弊社社員Aについての相談です。
弊社は個人宅の浄化槽を保守点検するサービス業を営んでおり、自治体毎に許可登録をして業務を行う登録業になります。
Aは今月から採用した新入社員で、前に所属していた会社でも同じ業務をしており、昔からの顧客との関係も良好とのことで転職してから前の顧客に営業活動を行っています。
ところが先日、Aの元に前の会社から内容証明郵便が届き、業務上知り得た情報をもとに営業活動をするのは就業規則に抵触して労働契約法第4条第3項違反になるとの内容証明が届きました。
しかしA曰く、就業規則は従業員に配られておらず閲覧可能な場所にもパソコン内にもなく全く周知されていないとのことです。
また、競業避止義務を負う契約も交わしておらず、前職では役員ではありませんでした。
それに前の顧客情報は記憶を頼りに訪問営業しているとのことですし、そもそも顧客情報自体は社内のパソコンで誰でも閲覧できる状態であり全く機密情報として管理されていないとのことです。
この内容証明に対してAに非が無い旨を主張したいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?

また、前所属会社がAが営業した多数の顧客に対して、Aが違法行為を行なっている等の悪意ある嘘を流すだけではなく、弊社が無登録で違法営業しているという事実無根の情報を吹聴しているようです。
これに対する牽制や法的措置の方法がありましたらご教授頂けると幸いです。
お力を貸して頂けるのであれば弁護を依頼することも検討しております。
何卒よろしくお願い致します。

>この内容証明に対してAに非が無い旨を主張したいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?
就業規則の内容が不明ですが,周知されていないのであれば無効となります。
そこで,就業規則の開示を求めるとともに,周知されていないことを主張することになりそうです。
仮に周知されていた場合に本件が競業避止義務違反であるかどうかは,検討を要します。

>これに対する牽制や法的措置の方法がありましたらご教授頂けると幸いです。
相手方の行為が事実であれば,信用棄損罪や偽計業務妨害罪に該当する可能性があります。
そこで,損害賠償請求や刑事告訴をする可能性があることを伝え,当該行為を止めるよう警告する方法が考えられます。

全所属会社の主張としては以下の文面が就業規則に記載されているとのことです。

①「会社・取引先の営業秘密その他機密情報や会社・取引先の保有する個人情報を本来の目的以外に利用、漏洩(毀損、複写を含む)し、又は会社情報や会社の不利益となるような事項を他に漏らし、又は私的に利用しないこと(退職後においても同様である)」
②「業務上知りえた情報等の漏洩、持ち出しを禁止する。退職後も同じとする。」

しかし、当該本人は就業規則を閲覧したことはなく、閲覧可能な場所に置いておらず全く周知されていないとの話で、これはその他退職者や現社員からの証言も得られるとのことです。

周知されていないことに関して,できる限り多くの方から証言を得ておいた方が良さそうですね。
その際は,証言内容をメールや書面などで客観的に証拠化しておくべきです。
法的論点が多く含まれる交渉になるため,弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。