中古マンションの給湯管破裂、売主の責任は問えるか?

お世話になります。

中古不動産の売買に関する責任範囲について、ご相談させてください。

■物件および売買条件の概要
・物件:区分所有マンション(収益物件)
・所在地:東京都内
・築年数:約43年
・売主:宅地建物取引業者(法人)
・売買契約締結:2024年10月
・引渡し:2024年10月
・売買契約書には「瑕疵担保責任免責」の特約あり
・重要事項説明書において、給排水設備の劣化・不具合等についての記載はありませんでした

■補足状況
本物件は「賃借人付き」の状態で購入した収益物件であり、
賃借人は事務所用途として使用していました。
購入時点では私自身が実際に居住・使用していたわけではありません。

■発生した問題
購入から約1年2ヶ月が経過した後(2025年12月)、
給湯管の漏水が発生しました。

その結果、下階に漏水被害が及び、
賃借人が使用していた事務機器・設備等にも損害が発生し、
現在、賃借人との間で損害賠償に関する問題が生じています。

■相談したい点
上記のような状況において、

①売主が宅地建物取引業者である場合、
 売買契約に瑕疵担保責任免責特約があっても、
 宅建業法第40条により、引渡しから2年以内に発覚した瑕疵については
 当該特約は無効とされ、
 売主に対して修繕費用や損害賠償の請求が可能かどうか

② 実務上・判例上、
 築40年以上の中古物件における給排水管の破損について、
 売主(宅建業者)の責任が認められた例があるかどうか

以上の点について、
実務や判例の傾向も踏まえてご教示いただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

1. 宅建業者が売主の場合の契約不適合責任(瑕疵担保責任)
売主が宅地建物取引業者(宅建業者)である場合、宅地建物取引業法(宅建業法)の特則が適用されます。

宅建業法第40条第1項により、宅建業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、その目的物の契約不適合(瑕疵)を担保すべき責任に関し、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利となる特約をすることはできません。

したがって、売買契約書に「瑕疵担保責任免責」の特約があったとしても、この特約は宅建業法第40条に反するため無効となります。その結果、売主は引渡しから最低2年間は契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負うことになります。

本件では、売主が宅建業者であり、給湯管の漏水が引渡しから約1年2ヶ月後に発生しているため、契約不適合責任(瑕疵担保責任)の免責特約は無効とされ、売主に対して修繕費用や損害賠償の請求が可能であると考えられます。ただし、この規定は宅建業者間の取引には適用されません。

2. 築古物件の給排水管破損に関する実務・判例の傾向

中古物件の売買では、経年変化による一定程度の損傷等が存在することは当然に前提とされています。そのため、瑕疵に該当するか否かは、「中古物件として通常有すべき品質・性能」を基準とし、それを超える程度の損傷等がある場合に「瑕疵」と判断されます。

過去の裁判例(東京地裁平成17年9月28日判決)では、買主が、建物が老朽化によりぼろぼろであることを認識して排水管交換の必要があることを承知していたといった事情等から、売主(宅建業者)の瑕疵担保責任および説明義務違反が否定されました。

一方で、仮に契約不適合責任(瑕疵担保責任)の追及が困難な場合でも、売主が説明義務を怠ったと認められれば、不法行為に基づく損害賠償請求が認められる可能性があります。

以上のことから、築40年以上の中古物件における給排水管の破損について、売主の責任が認められるかどうかは、①当該破損が「中古物件として通常有すべき品質」を欠く程度のものか、②買主が購入時に物件の老朽化の程度をどの程度認識していたか、③売買価格の交渉経緯、④売主である宅建業者が説明義務を果たしていたか、といった点が総合的に考慮されることになります。

ご回答ありがとうございました。
ご回答を踏まえ、以下の点を確認させていただきます。

1. 本件の漏水状況は、「築40年の中古住宅として通常有すべき品質」を超える損傷と見なされる可能性はあるでしょうか?

2. 当方は購入時点で賃貸借契約が継続中であり、給湯管等の劣化状態を実見できませんでした。この点は契約不適合の主張において、有利な事情と評価される可能性はありますか?

3. 売主または仲介業者から、給湯管や水回りに関して劣化・交換歴などの説明は一切ありませんでした。この点は「説明義務違反」としての損害賠償請求に使える可能性はありますか?

4. 本件の給湯管は壁体内に埋設されており、購入時の目視確認が困難でした。このような隠れた部分の損傷は、契約不適合責任の対象となり得るでしょうか?

よろしくお願いいたします。

1. 本件の漏水状況は、「築40年の中古住宅として通常有すべき品質」を超える損傷と見なされる可能性はあるでしょうか?

本件のような築40年の建物における漏水が瑕疵に該当するかは、劣化の程度や居住への影響などを考慮して判断されます。
築40年という築年数を考慮すれば、通常生じうる事象であるとも考えられます。
一方で、建物内部の漏水は居住を困難にする要素の一つであり、漏水の箇所や程度によっては瑕疵と判断される可能性があります。

2. 当方は購入時点で賃貸借契約が継続中であり、給湯管等の劣化状態を実見できませんでした。この点は契約不適合の主張において、有利な事情と評価される可能性はありますか?
当事者がその劣化状態を想定していたか(想定するのが相当か)が重要ですので、劣化状態を確認していないことをもって、直ちに有利な事情にはならないと思われます。

3. 売主または仲介業者から、給湯管や水回りに関して劣化・交換歴などの説明は一切ありませんでした。この点は「説明義務違反」としての損害賠償請求に使える可能性はありますか?

売主または仲介業者が給湯管の劣化等を認識していたにもかかわらず、説明を一切しなかった場合、説明義務違反として損害賠償請求が認められる可能性があります。

4. 本件の給湯管は壁体内に埋設されており、購入時の目視確認が困難でした。このような隠れた部分の損傷は、契約不適合責任の対象となり得るでしょうか?
なりえます。

壁体内に埋設されているなど、購入時の通常の注意では発見できない「隠れた」部分の損傷も、契約不適合責任の対象となり得ます。「瑕疵」とは、目的物が通常有すべき品質・性能を欠いている状態を指すため、その損傷が目視で確認できるか否かは、瑕疵の成否を直接左右するものではありません。