試用期間中の解雇理由が曖昧で合理性に欠ける場合の対策

試用期間中の解雇を求められている。
内容はこうだ。

試用期間満了通知書
中略
指導を行ったが、正社員への本採用を見合わせるとともに、雇用契約を終了する。
事由、就業規則第58条4項に基づき、試用期間における作業能率又は勤務態度が不良で従業員として不適格であると認められたとき、

なお、本通知は労働基準法20条に基づく解雇予告通知である。
本日付 終了日は1月31日

なお、契約時、看護業務は無いと、仲介業者を通じて確認していたが、実際は約3割ほど監護業務があり、かつ管理業務が二役担っている状況。
残業が連日あり、40時間を超えている。
一人三役をやらされていたが、会社は改善せず、一方的に解雇を言い渡す。

【主張文】

■ 解雇理由が特定されておらず、合理的理由を欠いている

今回の解雇予告通知書には、以下のように記載されています。

> 「作業能率又は勤務態度が不良で従業員として不適格」

しかし、この文言には以下の問題があります。

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● 1. 「又は」でつながれており、理由が特定されていない
- 「作業能率が不良」
- 「勤務態度が不良」

どちらが問題だったのか明確にされていません。

解雇理由は本来、
具体的な事実・日時・行為を特定する必要がある
にもかかわらず、通知書では選択肢のように並べられているだけです。

このような
曖昧で特定されていない理由による解雇は、合理的理由を欠く
と考えています。

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● 2. 「不適格」という抽象的表現のみで、具体的事実が示されていない
「従業員として不適格」という表現は、
何がどのように不適格だったのか、
どの基準で判断したのか、
具体的な事実が一切示されていません。

抽象的な評価だけでは、
解雇理由として成立しない
と考えています。

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● 3. 採用時の説明と実際の業務が異なっていた
採用時には
- 「看護業務は行わない」
- 「管理者として採用」

と説明を受けていました。

しかし実際には
- 看護業務を全体の約3割担当
- 管理者業務と老人ホーム施設長業務を兼務

という状況でした。

業務内容が説明と異なる状態で、
「能率」や「態度」を評価すること自体が不合理であり、
解雇理由の前提が成立していない
と考えています。

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🟦【まとめ】
今回の解雇理由は、

- 理由が特定されていない(又はの問題)
- 抽象的な「不適格」だけで具体性がない
- 採用時の説明と実際の業務が異なる状態での評価

という点から、
合理的理由を欠くものと考えています。

会社側に解雇理由を具体的に明らかにさせ、解雇理由を固めておくために、会社に対して、解雇理由証明書の交付請求してみることが考えられます(労働基準法第22条第2項)。
 会社側は、従業員から請求された場合、「遅滞なく」交付しなければならないものとされており、事業者(会社側)が同項に違反した場合には、三十万円以下の罰金に処する旨の罰則規定も設けられています(労働基準法第120条第1項)。
 なお、厚生労働省労働基準局長通知(平成15年10月22日基発第1022001号)により、解雇の理由については、以下のとおり、具体的に示す必要があるものとされています。
 
 「『解雇の理由』については、法第22条第1項に基づく請求における場合と同様に、具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当する事実が存在することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならないものであること。
 
 会社側が解雇(試用期間満了による本採用拒否を含みます)を撤回しない場合には、解雇理由の必要性•相当性をみたさない不当解雇として、解雇権濫用法理に基づき、解雇無効を主張して行くことになります。
 争い方としては、各事案の内容や労働者側の意向等を踏まえ、会社側との交渉、労働審判、労働訴訟から適切な方法を適宜選択して行くことになろうかと思います。

【参考】労働基準法
(退職時等の証明)
第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
② 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
③ 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
④ 略