職場でのハラスメント行為、加害者個人への責任追及は可能か?

はじめまして。公的機関で勤務している者です。

同じ職場の複数の職員から受けたハラスメント行為について、
個人責任を問うことが可能かどうか、ご相談したいと思っています。

【相談したい内容】
・複数の職員から、パワハラに該当する言動(長時間の叱責、人格否定的な発言、業務妨害的な言動)を受けました
・セクハラ行為については、職場の調査で事実と認定され、加害者には口頭注意が行われています
・第三者職員による証言メールがあります
・加害者本人のメール(侮辱的内容)が残っています
・私自身の詳細な時系列記録があります
・医師から「弁護士が入れば意見書を書く」と言われています

【方針】
・組織や国とは争うつもりはありません
・あくまで、加害者個人の責任のみを問いたいと考えています
・生活と仕事を守りながら、適切な範囲で進めたいです

【相談したいこと】
・この状況で個人への損害賠償請求は可能か
・内容証明から始めるべきか、訴訟を視野に入れるべきか
・必要な証拠や準備物の確認
・進め方と費用感の目安

証拠はすべて整理済みで、必要に応じて提出できます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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あなたが普通の民間企業の従業員であれば、パワハラを行った個人への損害賠償請求は、不法行為(民法709条)に基づく請求として、可能です。なお、こういう場合、通常は、行為者個人と併せて使用者も、使用者責任で訴えますが、使用者を訴えないという選択は可能です。
ですが、あなたが公務員で、パワハラ行為が. 公務員が「職務を行うについて」の行為である場合は、個人の責任を追及することはできません(最判昭和30年4月19日)。この「職務関連性」は広く判断されていて、例えば警察官が非番の日に制服を着て勤務のふりをして強盗を行った事件でも、職務関連性が肯定されています(最判昭昭和31年11月30日)。公務員個人の責任が否定された最近の有名な事件としては、森友事件で自殺された公務員のご遺族が当時の上司と国の両方を訴えた事件があります。この事件で国の責任は認められましたが、当時の上司の責任は認められませんでした。
なお「公的機関」であっても国立大学法人の教員の教育・研究行為などは公権力の行使にあたらないので国賠法ではなく民法が適用される(つまり教授個人が責任を負う)と考えられているようです。
一度、この分野に詳しい弁護士に直接資料を持参して相談されることをお勧めします。