幼稚園での事故で手術をしました。慰謝料請求は可能ですか?
今年の11月に、幼稚園にて子どもが事故にあいました。
頭蓋骨骨折に硬膜外血腫となり、緊急手術となりました。身体的な後遺症は残りませんでした。
事故現場を子どもしか見ておらず、保護者への連絡は事故から3時間半も過ぎたあとでした。
その間の対応は抱っこと冷やすのみで意識レベルの低下などのサインがあったにもかかわらず救急への通報や相談などはされていませんでした。
事故当日のお迎え時には、軽くぶつけたと報告し、伝えられた事故の時間も事実とは違ったものでした。
園からはしきりに謝罪された後、見守り不備とその後の対応に過失があった事を認めていただきました。
事故後は怒り出す事や、忘れっぽいことが増え、まだ事故にあった本人が小さいために、高次脳機能障害なのか年齢特有の行動なのか見分けがつかず、次回の通院で相談予定です。
12月に1度、1月にも1度通院予定です。
怪我が治り次第登園を考えているので大事にする予定はありませんでしたが、対応に不満があり、補償などの話をする際に通院慰謝料の話もしようと思っているのですが、こういった事故で慰謝料請求することは可能でしょうか?
今までこういった事が無かったので、請求が可能なのか、いくら位が相場などが分からず質問させて頂きました。
まず、どのような法律構成で、誰に対して請求ができるのかについて、詳しい事故の経緯•要因等を踏まえ、検討する必要があります。
①お子さんに怪我をさせた相手方がいるのであれば、その相手に対する請求が可能な場合があります。なお、怪我をさせた相手方が園児であれば、その親権者(保護者)へ請求可能な場合があります。
また、②お子さんが幼稚園の施設で怪我をした場合、幼稚園に対して、土地工作物責任(民法717条)の請求ができる可能性があります。
さらに、③幼稚園側にお子さんの監督に過失があれば、幼稚園に対して安全配慮義務違反(債務不履行責任)や不法行為責任を追求できる可能性があります。
次に、どのくらいの損害を請求できるのかについては、お子さんの入通院期間、お怪我や治療費の内容、回復状況、高次脳機能障害等の後遺障害の残存の有無等によって変わって参ります。
特に、小さいお子さんの事故の場合、成長過程にあることも踏まえ、後遺障害が残存するのか否かが判明するまでに長期間を要する傾向があります。
そのため、後々のことを考えると、性急な示談をしてしまわないよう、留意しておくべきでしょう。
このように、損害の賠償を受けるまでに時間を要する可能性を踏まえ、あなた又はあなたのご家族(同居,別居を問いません)が加入している自動車の任意保険、傷害保険、自宅の火災保険等に、①人身傷害保険(自分側が加入している保険から治療費等の支払が受けられることがあります)、②弁護士費用特約が付いており、今回の事件に適用があるかを確認してみて下さい(今回のような日常生活上の事故にも適用がある場合があります。加入したつもりがなくても、確認してみたら付いていたということがよくあります)。
いずれにしましても、お手もとの証拠(事故や治療に関する証拠)を持参の上、一度、お住まいの地域等の法律事務所や弁護士に直接相談なさってみるのが望ましいご事案かと存じます。