有罪・無罪の判断において、被告人の前科の有無を判断材料の一つにする事は出来る?

刑事裁判においては、被告人の有罪・無罪を判断します。

裁判所は、被告人が真犯人か否かを、
種々の直接証拠・関節証拠に基づき見極めます。

しかし、裁判所が、
被告人が真犯人か否かを判定する際、
被告人の前科・前歴の有無を判断材料の一つに出来るのですか?

例えば、
「被告人に前科、前歴がなかった」
という事実を、
無罪と判断した理由の一つにすることは出来るのですか?

>例えば、
「被告人に前科、前歴がなかった」
という事実を、
無罪と判断した理由の一つにすることは出来るのですか?

 できません。無罪とできるのは、犯罪を認定する証拠が不足している場合です。
 一方で、非常に特殊な手口の犯罪の前科があることを、その他の状況証拠と併せて、被告人が犯人であることの証拠の一つとはできるとされています。
 最高裁判例では、「前科にかかる犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できるものというべき。」とされています。
 要するに、前科があるという理由で被告人が犯人であるというためには、①前科の犯罪事実が顕著な特徴を有していること、②それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、①自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させることが認められる必要がある、という場合です。
 この意味では、有罪にする方向でのみ、限られた場合に前科を心証形成のための一つの資料とできる、ということになります。