クライアント提示工数と下請契約工数が異なる案件運用の契約・法的評価
【相談の背景】
私はコンサルティング業務(準委任契約)における業務委託案件にて、進行管理・調整担当として関与していました。
工数や契約条件を決定する権限はなく、後から事実関係を把握した立場です。
把握している事実として、
クライアントに対しては特定要員について 稼働工数100% で提案・契約している一方で、
当該要員との業務委託契約は 80%稼働 で締結されている案件が存在します。
上位責任者からは、
「クライアントへの提示工数と、下請への実契約工数をあえて乖離させる運用を行っている」
「成果(アウトプット)はクライアント提示工数(100%)前提で求める」
という説明・指示を、社内メールで受けています。
つまり本件では、
単に「契約工数と実働工数に差がある」という状況ではなく、
クライアントには100%稼働しているように見える前提で運用する
という社内方針・指示が存在していました。
具体的には、
クライアント向けの提案資料・見積では工数100%と明示
一方で、下請契約は80%で締結
下請本人も「クライアントは100%稼働と認識している」という理解のもとで業務を行っていた
という状況です。
なお、下請本人もこの乖離構造を認識した上で稼働していた旨を、私とのヒアリングで述べています。
これらの点については、社内メールおよび下請本人へのヒアリング記録があります。
私は、特定の違法性を断定・告発したいわけではなく、
このような構造が 契約や法令上どのような論点になり得るのか を、
中立的に確認したいと考えています。
【質問1】
クライアント提示工数(100%)と下請契約工数(80%)が恒常的に乖離している運用について、
契約上または法令上、どのような問題点が論点になり得ますか。
【質問2】
成果物が提示工数相当とクライアントに評価されていた場合でも、
工数の乖離自体が問題視される可能性はありますか。
【質問3】
工数設定に関与していない進捗管理・調整の立場は、
責任や評価の上でどのように整理されるのが一般的でしょうか。
コンサルティング業務ということで、成果物を目的とした契約ではなく、役務の提供をを目的とした契約であると考えます。
具体的に「工数」が何を指すか、その工数の達成・未達成が当事者間にとって重要な要素か、報酬の算定と工数との関係、当事者にとって工数はあくまで目安なのか、契約にどのように定められているか、等の事情により結論が変わりますが、ご質問いただいた情報限りでお答えすると、契約上の債務不履行に問われる可能性はあるといえます。
【質問1】
クライアント提示工数(100%)と下請契約工数(80%)が恒常的に乖離している運用について、
契約上または法令上、どのような問題点が論点になり得ますか。
→考えられる論点としては、工数(稼働時間)に満たない点に債務不履行責任が生じか、です。
ご質問者様の会社が、工数に満たないことを知っているということですので、債務不履行と判断された場合、クライアントから余分に支払いさせらた報酬相当額の損害賠償請求されることが考えられます。
【質問2】
成果物が提示工数相当とクライアントに評価されていた場合でも、
工数の乖離自体が問題視される可能性はありますか。
→おそらく成果物は報告書を想定しているかと思われますが、その報告書に記載した稼働時間と実際の稼働時間が異なることになりますので、問題とされる可能性はあります。
【質問3】
工数設定に関与していない進捗管理・調整の立場は、
責任や評価の上でどのように整理されるのが一般的でしょうか。
→この点は、(責任が生じたとして)会社としての責任問題となる可能性が高いことやご質問者様の社内でのお立場にもよりますので、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。