内定辞退について誓約書の効力とは

転職活動で、内定が出ました。
その後、誓約書の提出を求められ提出したのですが、内容に
「いかなる理由があろうともこの内定を辞退しません」
という文言が書かれています。
地方都市の市役所です。

やむを得ない事情ができたため辞退したいです。
(現在遠方に住んでいますが入庁日に移住が間に合わない。トラブルが発生し、現職の引き継ぎができないため退職日が期日を過ぎる)
この場合、どのような対応が必要でしょうか?
(辞退の連絡は承知の上、損害補償等必要でしょうか)

また、今後こちらの市役所にて再就職(表現が正しいかわかりませんが)することが難しいのは想像がつきますが、他に考えられる影響はありますか?

まず、「いかなる理由があろうともこの内定を辞退しません」という旨の誓約書は、公序良俗に反して無効です。ですから、本件では、そのような誓約書は存在しないのと同様に考えることになります。
その上で、労働者には退職の自由が保障されていますので、入社予定者についても同様に入社辞退の自由が保障されています。したがって、入社辞退の申し出をすれば、労働契約は有効に解約されたことになります。この申し出は、直接電話するのが億劫であれば、手紙でも構いません。
ただし、入社辞退の連絡時期が、就労開始予定日の直前というような場合は、入社辞退の理由や連絡が遅れた事情などによっては、損害賠償請求がなされる余地はあります。もっとも、会社側は、損害の立証をしなければならず、その立証は困難かもしれませんので、実務的には、入社予定者への法的措置は難しいと考えられます。

結論として、本件では、可及的速やかに入社辞退の連絡をすれば、貴方が法的に責任を負うことになる事態は考えづらいです。
その他の影響も特に考えられません。