専門学校に進学した息子の養育費増額について

元夫は進学を承諾していたのに入学金・学費の支払いが一切なく、息子はやむを得ず奨学金を借りました。
増額調停では、相手が「奨学金を差し引いた学費分しか払わない」と主張し、話が平行線のまま審判に移行しています。

相手の年収は1,000万円超、私は350万円未満です。私は収入差から 学費負担を7:3 と求めています。

【質問】

高収入でも、奨学金を借りている場合はその奨学金分を差し引くという主張が認められることはありますか?
また、この収入差がある場合、審判ではどのような判断になりやすいでしょうか?

収入の内容に関係なく、「奨学金が貸与型であったとしても奨学金により子の学費が賄われている場合、婚姻費用を減額できる事情となる」という審判例は存在します。
おそらく実務の感覚としては、養育費にもこれが妥当する(そもそも養育費や婚姻費用として増減額すべきかどうか、という話は、当事者の納得感の問題と切り離せないので、高収入だから/収入が低いから、というのは直ちに根拠となりません)ことになります。

本件では、上記審判例に照らすと、貸与型の場合、増額を求める部分について、奨学金を差し引いた学費分のみ支払う、という主張が通る可能性はあります。
上記審判例は、当事者が減額を求めた、という事案であり、その事案で考慮されるということは、当事者が増額を求めた審判事案ではなおのこと検討されやすい、と考えます。
なお給付型の場合、その分だけ親権者の負担は減りますので、差し引いた差額分のみ支払うという結論は当然に通ります。
そうしなければ、離婚した親権者側は大学の学費を支払っていないのにも関わらず、元配偶者側から学費分の金額を受け取る一方で、奨学金は子自身が将来的に返済する前提であるため、結果的に親権者側に学費分の利得が生じてしまうためです。

収入差がある場合の考慮の仕方は、割合型と均等型と両方の認定例があるので、ケースバイケースです。