解雇した高度人材社員が不当解雇で訴訟準備中、対応策は?
長文お許しください。
上場準備中の
ゲーム開発メーカーです。
私は人事部のスタッフですが
"解雇にした社員の是非"について
顧問弁護士と話し合いをしても
理解ができない部分があったので
教えてください。
開発部に年俸2000万円で
執行役員候補で採用した
高度人材の中途社員がいますが
成果が上がらず
社長も
他の執行役員も
痺れを切らして、
社長命令で、
入社7ヶ月目に
解雇にしてしまいました。
先月のことです。
私としても、
解雇にするなら
業務改善計画とか、配転とか、
スキル修正プログラムとかの
評価を経てから、
双方話し合いのもとに
解雇にしないと、
どのみち揉めてしまうであろうと
考えておりました。
しかし、
いきなり、
成果が上がっていない!
との理由で解雇でした!
能力不足、コミュニケーショ不足を
解雇理由にして通知書を渡して、
解雇予告手当を1ヶ月分お支払いしております。
そして、
その後、その解雇社員の仲良しの社内の方からの情報によると、今、彼は、
不当解雇の訴訟の準備をされているそうです。
そりゃそうですよね。
ネットで調べたところ、
職種を限定した高度専門人材ならば、
解雇有効に裁判所も見てくれるとの
内容も見つけました。
本当にそうならば、
弊社としてはありがたいのですが、
実際のところはどうでしょうか?
裁判になったら、
"職種限定の専門職採用だったので、
配転をすることもなく
解雇にしたー!"
との立て付けの反論を
出すことになりそうです。
また、
社員からの証言も、
彼を貶めるための悪い方に傾く、
能力不足を表現する評価の証言の答弁書を作ることになりそうです。
こんなことで裁判に勝てますでしょうか?
高度人材の職種限定だと、
解雇は容易いでしょうか?
以下質問をまとめてます。
①
職種を限定した
開発者などの高度人材は
解雇しやすいのは本当でしょうか?
②
開発者にあるあるのですが
過去の経歴が転職歴が多いので、
3社くらいの開発経歴を
1社にまとめて経歴をつくっております。この方も過去10年で4社のゲーム会社に勤めていたのですが、
1社にまとめております。
このことも経歴詐称のひとつとして、
解雇理由に付け加えることは可能でしょうか?
③
社員からの悪い評価を使って、
解雇理由にすることも可能でしょうか?
顧問弁護士というのは、決して、契約をしているわけではなく、取引先の関係者というレベルで、本件で弁護士を探しております。
「高度人材の解雇は認められやすい」というネット情報があるらしく、同様の相談が非常に多く見られます。類似する他の相談事例がありますので、参考にご覧ください。ご質問の①と②への回答になると思います。
https://legal.coconala.com/lawyer/bbses#/98929
https://legal.coconala.com/lawyer/bbses#/98165
https://legal.coconala.com/lawyer/bbses#/98089
https://legal.coconala.com/lawyer/bbses#/97127
ご質問の③について、社員からの悪い評価を解雇理由に加えることは可能ですが、現社員は会社側に味方する動機があるので信用性の点で限界があります。紛争が始まる前に作成されたEメールなど客観性のある証拠なら意味がありますが、これから証拠を作る場合は証人尋問できっちり証明するくらいの覚悟でないとあまり有力な証拠にはならないと思います。
異なる企業の同じポジションの方から、ほぼ同じ文面での相談が複数ありますので、それに対する回答が特に参考になるでしょう。
https://legal.coconala.com/bbses/98264
https://legal.coconala.com/bbses/98708
https://legal.coconala.com/bbses/99298
ご回答いたします。
①一般論として職種を限定した高度人材の方が一般社員よりも解雇の有効可能性は高い言えます(ただし、当該解雇事由が能力不足等、その社員のスキルがより重視されるものに限ります。)。
②ご記載の理由を「経歴詐称を理由にした解雇」にすることは相応のハードルがあります。
③社員の証言に相応の証拠、信用性があり、相当性を超えるものであれば解雇理由になる可能性があります。
②について補足すると、経歴詐称を理由に当該社員を解雇できるか否かについて、経歴詐称がその会社にとって重要なものとは言えない場合は、懲戒解雇は重すぎるとして無効と判断される傾向にあります。
経歴詐称が会社にとって重要なものといえるか否かについては、使用者の労働者に対する信頼関係、企業秩序維持等に重大な影響を与えるものでなければならないとされています。
そして、信頼関係、企業秩序維持等に重大な影響を与える経歴の詐称に該当するのは、具体的には以下の2点を双方とも満たす場合です。
1.その経歴詐称が事前に発覚していれば、会社がその労働者を雇入れることはなかったといえる場合
2.その経歴詐称が事前に発覚していれば雇入れなかったということに、客観的な相当性がある場合
ご記載のケースですと、あくまで、転職歴が実際よりも多かった、というにすぎず能力面での信用性には特段影響がないように思われることから上記のような企業との信頼関係への重大な影響は小さいと判断されるものと思われます。
先方から訴えがあった場合、それが初めから訴訟なのかはたまた労働審判やあっせんなどの手続きかによりますが、被告側になった場合はこちら側も早い段階で弁護士とつけることが有効です。労働問題は一般に労働者側の立場が強いですが、使用者側の「負け方」も極めて重要になります。お役に立てれば幸いです。