中古車を購入したが、事前情報開示不備により返品もしくは不備部分の修理費用を請求したい

こんにちは。現在、以下トラブルを抱えております。事前情報開示不備を理由に購入した中古車の返品もしくは修理費用の請求は可能でしょうか?ご教授の程お願いいたします。

・2020年3月27日に千葉の中古車販売店にて自動車を購入。
・本車はヤフオクで掲載していることで知り、他カーセンサー等にも掲載されていることを確認(ヤフオクでは開始価格98万円で2回ほど落札されずに再出品される)
・3月25日に現車確認に出向き、20分程度先方スタッフと一緒に現車確認を実施。主に内外装の傷確認、
 エンジンのかかり具合やオープンカーのため電動屋根の開閉を確認。その場のスタッフに「その他不具合や気になる点はありますか?」と聞いたところ、「特に無い」と回答。オークション開始価格の98万円での購入を要望するも、中古車販売サイト記載の120万円での販売を先方希望。交渉の結果、105万でのオークションの終了を待たずに購入で交渉成立。手付の2万円を支払う。尚、オークション内容に「保証なし」「現状渡し」の記載あり。3月26日に100万円を振り込み、残り3万円は当日手渡しとする。
・3月27日、先方に出向き、3万円を支払い、車を受け取りそのまま自宅である京都宇治市の自宅に車を移動する。
・移動後、自宅でしっかりと現車確認すると以下の問題が発覚
  ①鍵がマスターキーではなく、サブキーであった(鍵が1本であることを事前確認)。サブキーはその名の通り
   サブの鍵であり、マスターがないと合鍵も作製できないこと、よって盗難等で紛失したら車として機能しない
   ことを確認。
  ②オークションの掲載サイトを確認すると、走行距離が69,877kmであったが、実際は受け渡し時に73000kmを
   超えていた。尚、注文書に走行距離は空白であった。
  ③サイド電動ミラーが格納できない。

・上記不具合をメールにて連絡したところ、先方スタッフから、お詫びメールあり。
 ①、②は事前に伝えるべきであったこと、③は更新で出来ていなかったことの記載あり。
・これを受けて、当方からこれらの項目は事前に伝えるべき項目であるため、それが無かったことに対する是正を求めるメールを送信(4月3日)。
・4月6日 先方責任者と思われる方からメールがあり、現状渡し・保証なし(更に値引きもしたので)であることから一切対応できないとのメールあり。
・4月7日 当方から保証というのは、受け渡しした後のトラブルであり、受け渡し前に分かっていたことに対し、伝えていなかったことについては、当方が支払った車の価値と齟齬が発生すると主張。どちらが正しいのは自分には判断できないので、弁護士に相談する旨のメールを返信。今に至る。尚、未だ名義変更は行っておらず、先方名義となっております(書類は準備済)。

まず,瑕疵担保責任(本件はぎりぎり民法改正前の契約ですので,元の用語で記載します。改正前570条・566条1項)の追及が考えられます。
瑕疵担保責任は,契約書上でその適用が排除されていれば使えません。オークション内容の「保証なし」「現状渡し」が本件売買契約に適用されるか,適用されるとしても瑕疵担保責任排除の意味まで持つのかも問題になります。
仮に排除されていなかったとすると,「契約をした目的を達することができないとき」に契約の解除が,解除ができないときに損害賠償の請求ができるとされています。
本件では①鍵がなくならない限りは車としては使えるので,「契約をした目的を達することができない」とは言えず,解除は難しいと思います。昔のメルセデスのポーターキーのように,メインキーよりもできることが制限されているとしても,おそらく結論は同じと思われます。なお,メーカーによっては,車検証があれば,正規販売店から鍵(マスターキー)の注文が可能な場合もありますので,正規販売店に問い合わせてみて下さい。解除ができない場合の損害賠償請求はあり得ますが,そもそもマスターキーが付いていることが本件の契約内容になっていたのかは問題です。
②走行距離が違っていても,「契約をした目的を達することができない」とはいえず,解除は難しいと思います。損害賠償請求の対象にはなり得ますが,そもそもそれが契約内容になっていたのか,また契約内容になっていたとしても何をもって損害とみるか(その差であれば,中古車価格で差が出るともいえないのではないか)は問題です。
③ドアミラーが格納できないとかなり不便ですが,「契約をした目的を達することができない」とまではいえず,解除は難しいと思います。ただし電動ドアミラーであれば動くのが当然で,故障していないことが契約内容になっていたと言えそうですので,損害賠償として修理費用を請求できる可能性は高いです。

他には,消費者契約法上の取消し,民法の詐欺取消し・錯誤無効等も一応考えられますが,字数制限のため割愛します。

以上長くなりましたが,事実関係がさらに詳しく分からないと,正しい回答をできているとも言い切れませんし,また,これ以上のアドバイスを差し上げるのも難しいです。契約書やそのオークションの関係資料等もお持ちになって,弁護士に相談されることをおすすめします。