業務上横領の疑いで懲戒解雇
業務上横領でお聞きしたいことがあります。
上司が横領で会社から懲戒解雇されました。本人は否認をしてて解雇された後に弁護士に依頼し解雇無効を要求しています。
横領が発覚した経緯を説明します。上司と経理担当の部下がいてるのですが、普段より二人は仲が良く飲みにもよく行ってました。その経理担当の部下に内部通報されたんです。
会社がブラックで社員を大切にしない会社なので、二人とも会社に対し不平不満が溜まってたようでLINEで会社の文句を言ってたみたいなんです。その中でいつしか横領をしないか?みたいな話しを、上司が経理担当の部下にLINEで持ち掛けたみたいです。詳しくは分かりませんがLINEには疑われても仕方のない内容のやり取りがあったそうです。
そのLINEを経理担当の部下が、部長に見せたそうです。
部長が驚いて社長に報告したのですが、社長は何も調査せず翌日、上司を呼び出し懲戒解雇をしてしまいました。尋問は横領の有無のみで上司が否定したので、本人に刑事告訴と民事で訴える旨を通達しそれで終了しました。時間にして5分程度です。
横領は売上金の着服です。仕事を過少申告し浮いた分を抜いていたと、経理担当の部下が手口を説明したみたいです。
会社は上司を懲戒解雇してから被害額を調査しました。部長の話しでは1年半くらいで約400万程の不明金があったそうです。
ただ、いい加減な会社なので、営業から誰が売上金を回収したのか?が分からないんです。回収に携わる人間が5人いてるのですが、受け渡しのサインをしていないので全然分からない状態です。受け取った人間は保管場所に保管するのですが、その際にも保管場所に入金を示すサインとかをしていませんでした。
ネットで見たのですが、業務上横領は金の流れを証明する必要があるみたいなことを書いていました。会社が杜撰で売上金も含めた現金の入出金が、誰の手で行われたのか?金の流れを証明するのが難しい状況です。その業務に携わる人間も数名います。
ちなみに懲戒解雇された上司と経理担当の部下も業務に携わっています。銀行への入金や出納帳は経理担当の部下が1人で行っています。
社長は頭にきて直ぐ刑事告訴すると言ってます。会社には顧問弁護士も付いてます。
ただ、向こうの弁護士はLINEでのやり取りは、横領の直接的な証拠ではなく裏付けとはならない。確たる証拠を示し立証説明を果たすようにと会社に対し文面を送ってきてるそうです。
解雇された上司は厳しい人間だったので、部署の人達の半数以上は喜んでいます。それどころか社外の人達に上司が横領を働いたと決めつけて吹聴している始末です。
ただ私は本人が弁護士まで依頼し否定しているのが気掛かりです。会社が杜撰で売上金の流れが証明できないので、証拠と呼べるのはLINEのやり取りと、経理担当の部下の証言のみです。
部長が話してましたが顧問弁護士からは、懲戒解雇の手続きがマズイと言われたそうです。就業規則はあるみたいですが(私は見たことありません…)社内に見た人はいません。掲示や保管がされていません。
ここでお聞きしたいのですが、この状況で会社が告訴したとして受理されると思われますか?
また受理されたとして逮捕起訴されるでしょうか?されとも嫌疑不十分で不起訴になるでしょうか?
私見でかまいませんのでご意見お聞かせ下さい。
はじめまして。
ご相談内容を拝見しました。
業務上横領事件について、加害者側の弁護のほか、会社側の弁護を複数お受けしたことがございます。
いつ、いくら、どのような手口でという点がきちんと証拠で裏付けられなければ、警察は告訴を受理しません。
上司の方が否認しているならば、尚更でしょう。
逮捕される可能性もないかと思います。
若井先生お忙しいところお返事ありがとうございます。
不明金の調査で日時と金額は判明しています。ただ、その日の売上が不明という意味での判明です。経理担当の部下の話では、社内で売上金を渡したと証言しているそうです。手口は最初の相談に書きましたが、売上金は経理担当の部下が手渡しで渡したそうです。これってカメラとかの映像が無い限り、渡した!受け取ってない!の水掛け論みたいなものですよね?
ちなみに警察は告訴を受理するか?しないか?の前に、会社側からの不明金がある証拠を元に取引先に対し連絡して領収書が残っているか?の聞き取りはしますか?
そこで実際に領収書が残ってて実際に不明金が判明したら告訴を受理するのでしょうか?
使途不明金イコール横領の被害金とはならないところ、経理担当の部下の供述のみの段階で告訴を受理するということはないかと思います。
取引先に対しては、任意に協力を求め、申告された金額と領収書の金額の差額があるかどうか調べることはするかもしれませんが、警察がそこまで積極的に証拠収集に動いてくれたケースは過去にはありませんでしたね。
警察の動きを待つというよりは、会社が取引先に事情を話して協力を仰ぐというやり方のほうが早いかもしれません。
不明金が判明した段階で告訴を受理するかは、お伺いする限りでは分かりかねるところです。
上司の方が弁護士を通じて否認している状況においては、受理に慎重になるかとは思います。
なるほど。昨日、部長も話してましたが、会社側が負ける可能性の方が高そうですね…
最後にもう1つだけお聞かせ下さい。
今回LINEのやり取りを証拠に会社は懲戒解雇に踏み込みました。LINEやメールは証拠能力として一定の効力はあると思いますが、上司の弁護士が言うように横領の裏付けとしは不十分なんでしょうか?それとも内容次第では刑事裁判でも争えるのでしょうか?
部長は社長からもし負けたら向こうに支払う金はお前が払え!と言われたそうです。
仮に不当解雇で敗訴した場合には、どれくらい上司側に支払う見込みになりますか?
ちなみに上司の給料が総額で45万円です。
懲戒解雇されて今月で7カ月経っています。
はじめまして。
ご相談内容を拝見しました。
メールのやり取りも有力な証拠にはなり得ます。
ただ、それが十分かどうかは内容を拝見していないので判断できかねます。
解雇が無効になった場合には、解雇後に経過した期間分の賃金相当額が認められる可能性はあります(なお、退職後に就職した場合にはその分減額されるなど、調整される場合があります)。
若井先生ご丁寧にお答えいただきありがとうございました。非常に参考になりました。
先日、ご相談させてもらった後に進展がありましたので追加でご質問させて下さい。
上司の弁護士より通知書の返答の督促があり、1週間以内に返答が無き場合は訴訟提起すると最後通告を受けました。
会社側の方針としては、刑事告訴の受理は難しいとの顧問弁護士の意見もあり(社長は全く納得してませんが…)民事裁判で争う方向になりました。
ただ刑事告訴の受理がされないだろうと(あくまで予想です)思われる事案で、民事裁判とはいえ勝訴できるとは到底思えないのが個人的な意見です。民事で争った場合でも、LINEだけでは証拠として弱いでしょうか?
その他に着服した現金を何に使ったのか?使途を証明するとか複数の証拠が無ければ、やはり民事でも難しいでしょうか?