スポーツ事故に関する免責の相談(相手方の弁護士から書面受理済)

スポーツ事故に関してです。

ソフトバレーボールのゲーム中に味方の女性とぶつかってしまい、怪我を負わせてしまいました。

しっかり謝罪し、練習を切り上げてすぐに病院に行って頂きました。
その後LINE(怪我した女性の娘経由)で謝罪をし、『また怪我が治ったら練習来て下さい』と伝えて終わりました。
怪我した女性も[楽しかったからまた治ったら参加したい]との事なので穏便に済んだと思い、怪我が治るまで待とうと考えておりました。

その後怪我した本人から直接LINE電話があり、[怪我の容態を聞かなかった事][菓子折りを持って直接謝罪に来なかった事]を物凄い怒りの声で言ってきて、怖くなってしまい電話を切ってしまいました。

その後連絡を取らないようにブロックしていたのですが、練習に怪我した女性とご子息の3人で来たんです。
最初は怖くて隠れていたのですが見つかってしまい、3人がかりで罵声等を浴びせられてしまいました。

その後弁護士も呼んでる(知り合いにいる)と言い、絶対痛い目に遭わせてやると言われました。
電話でしっかり謝罪すればこんな事にはしなかったと言われました。

僕はプレー中とはいえ怪我させた事、その後どんな理由だろうと逃げた事は悪い事だとしっかり受け止めております。

ただ後日に謝罪や容態連絡しなかったから弁護士呼んで賠償請求するというのは怪我とは別の話ではないのかな?って考えております。

また身内が怪我した時お前はムカつかんのか?って聞かれた際、僕は怪我する可能性がある事も理解した上でスポーツをしているので『それは無い』と言ったら、例を変えて交通事故に遭った際も同じこと言えるのか?と言われ、論点をかなりずらされた気がしております。

またプレー中の事故でお互いボールに向かってぶつかってしまった結果であり、下手をすれば僕も大怪我を負う可能性があった場面でもあります。
※動画撮影有り(相手方にも動画提供済)

転勤で現在は新潟在住ですが、愛知で起こした件になります。
先日、相手方の弁護士から書面で連絡もありました。
僕としては免責だと考えておりますので、ご対応お願い致します。

[被害者の情報]
バレー経験者(中学、高校時代)
※ソフトバレーは未経験
50代
練習には初参加(ルールや動きは説明済)

ご投稿のスポーツ事故の事案の解決方針を検討するにあたっては、やや古い裁判例ですが、ママさんバレーボールの競技者同士の事故に関する裁判例(東京地判昭和45年2月27日判時594号77頁)が一つの参考になろうかと思います。

【事案】
ある小学校のPTA会員によるバレーボールの練習中に、前衛の選手が後退しながらスパイクした際に重心を失ってしまい、二、三歩前にのめって相手方コートに入って転倒し、相手方コートの前衛の選手の右膝に衝突して怪我をさせてしまった事案

【裁判例の要旨】
「一般に、スポーツの競技中に生じた加害行為については、それがそのスポーツのルールに著しく反することがなく、かつ通常予測され許容された動作に起因するものであるときは、そのスポーツの競技に参加した者全員がその危険を予め受忍し加害行為を承諾しているものと解するのが相当であり、このような場合加害者の行為は違法性を阻却するものというべきである」「加害選手が前衛を不得手としていたとはいえ、飛球をスパイクしたはずみで転倒することは予測される動作ということができるから、加害選手の行為は違法性を阻却する」
「スポーツが許容された行動範囲で行われる限り、スポーツの特殊性(自他共に多少の危険が伴うこと等)から離れて過失の有無を論ずるのは適切ではない。本件の場合被告にはスポーツによる不法行為を構成するような過失はなかったともいいうる」

(あなたのご事案について)
 衝突時の場面を撮影した動画等に基づき、事故状況をしっかりと把握する必要があろうかと思います。
 その上で、上記の参考判例などに基づき、免責を主張し得るかを検討することになろうかと思います。
 ただし、昭和45年時の地裁レベルの裁判例のため、その後のスポーツに関する国民意識•考え方の変化、スポーツや競技の種類•内容毎に応じた分析•判断がなされる傾向、スポーツ事案の裁判例の集積等、昭和45年当時とは取り巻く事情が異なる可能性も視野に入れておくべきでしょう(判断枠組みや判断要素がより精緻になる等、当時から変化が見られる可能性もあります)。
 なお、念のため、あなたやあなたの家族が今回の事故当時に加入していた保険(スポーツ保険に限らず、傷害保険、自宅の火災保険、自動車の任意保険等)に、①個人賠償責任保険、②弁護士費用特約等が付保されているか確認してみましょう。