わいせつ情報を日本からのアクセスを遮断した米国のサーバーに送信する行為について
日本国内から(わいせつな動画データなどの)わいせつ情報を米国に存在するサーバーにアップロードして、わいせつなホームページを作成した。そのホームページは英語で書かれており、米国の法律に基づいて米国人向けに作成されたものであった。
なお、そのホームページにはジオブロック(地域制限)が設定されており、日本からのアクセスは完全に遮断されている。(日本からの検索には引っかからない、直接URLを指定しても日本からは閲覧できない)
この行為に刑法175条わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪は成立しますか?
解釈が分かれる問題となりますので、以下は私見となりますが、一般的に、犯罪構成要件の実行行為の一部が日本国内で行われた場合は、「国内犯」として処罰され得ると解されていることから、日本国内からわいせつ情報をアップロードした場合、少なくとも実行行為の一部が国内で行われているものとして、国内犯として同罪が成立する可能性があると考えます。
(アップロードされる情報は、視覚的にわいせつと判断できる情報を含んでいると思われますので、文字情報が日本語であるか英語であるかは、犯罪の成否を分ける決め手としてさほど重要ではないと考えます。)
他方、日本国内では、およそ全く閲覧することができない、という前提の下に、そのようなアップロードであればそもそも実行行為にあたらないので、国内犯にもあたらない、という見解が成り立たないわけではないとも思いますが、そのような見解に依拠するとしても、ジオブロックが完全に回避できない仕組みとなっているかどうか、回避方法が国内で知れ渡っていないと言い切れるかどうか、といった点も別途問題になると思われます。
なお、わいせつ情報に児童ポルノが含まれる場合は、児童買春、児童ポルノ禁止法の国外犯処罰規定により同法による罪が成立することになりますので、この点も留意が必要と思います。
難しい問題に丁寧な回答をしていただき、誠にありがとうございます。