今回の案件で訴訟で有利となる、または請求の根拠となる判例はありますでしょうか?

賃貸アパートに住んでいますが、入居時から破損しているベランダの仕切り板に対して、管理会社に補修すよう伝えましたが補修拒否をされました。仕切り板は人が簡単に通れるくらいの穴があいており、隣部屋の人がいつでも入ってこれる状況です。その状態が約4ヶ月ほど続いております。この件の他に賃貸借契約違反、違法行為もありまして大家に対して補修請求と慰謝料請求の申し立てを検討しております。

貸主には「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務」を負います。修繕義務が発生するのは、修繕が必要であること、修繕が可能であることを満たす必要があります。修繕が必要であるとは、修繕をしなければ、賃借人が契約によって定まった目的に従って使用収益ができない状態になる場合をいいます。ご質問の例のように、一応住めるけど支障をきたす場合について判例は「居住の用に耐えない程、あるいは、居住に著しい支障を生ずる程に」至っている場合には修繕義務が生じるとしています(最判昭和38年11月28日民集17巻11号1477頁)。また、この規定は任意規定であるため、貸主が修繕義務を負わない旨の特約がある場合は修繕義務を免れることになります(大判明治37年11月2日民録10輯1389頁)。
一般論としては以上のとおりかと思われますが、具体的な事情に関しては、ここでは申し上げられないと思いますので、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

伊藤先生、お忙しいなか回答して頂きありがとうございます。
とても参考になりました。
迅速かつ丁寧に答えていただき、ありがとうございました。