離婚後の紛争調整調停
相談事項①
妻とは調停離婚済みだが、調停条項にて婚姻期間中に住んでいた建物(建物は私の母親名義)、に10年間無償居住を認めたため、現在も元妻はそこに住んでいます。
ただし、事情の変化により、早期の退去に向け再協議という調停条項を付けており、母親の介護等の事情の変化があったので退去を求めていますが、応じてもらえません。
現在は、この点について紛争調整調停中ですが、相手方は代替案(明確には言わないが、金銭の提供を求めている)が
なければ再協議にも応じられないとの主張。
私は、事情の変化により早期の退去に向け再協議という条項は、早期の退去ありきで、退去時期を再協議するものと理解しているが、
法律の専門家からの意見を頂きたいです。
また、このままでは、事情の変化により早期の退去に向け再協議という条項は法的効力があるはずなのに、結果的に離婚調停での決定事項が無視されることになり、
このまま調停不成立になることは納得いかないが、調停という制度のなかでは、止む無しのものなのでしょうか。
また対応策はないのでしょうか。
追記、先日の夜中に母親が具合が悪くなり、なんとか自分で救急車を呼び病院に搬送され、事なきを得ました。
益々事情の変化が強くなっております。
相談事項②
上記の離婚調停条項における無償居住については、暗黙的に使用貸借契約が成立していると思われますが、建物が私の母親名義であるため、母親が調停離婚調書上無償居住を認めている等の記載もなく、実際に母親は離婚調停成立後に無償居住の事実を知り、無償居住に納得していない。
従って母親の承認はないので、暗黙的にも使用貸借契約が成り立っていないとも解釈できます。
このため、
退去してもらえないのであれば、母親の介護等が円滑にできないので、土地建物を売却することで、問題解決を図りたいとも思っていますが、相手方はこの売却に逆らう権利は有しているでしょうか。(仮に使用貸借契約が成り立っているとしても無償なので、賃貸借契約のような居住権のような強い権利はないと理解しています)
以上長文となりましたが、よろしくお願いいたします。
相談事項①
一般的な再協議条項は、「協議する」ことを義務付けるもので、明渡に応じることまでを義務付けるものはないと考えられています。
今回の離婚調停調書の記載ぶりを見ないと正確なご回答はできませんが、一般的な書きぶりになっている場合には、上記のとおり、理解される可能性があります。
相談事項②
お母様が建物の所有者ということであって、お母様と元奥様との間に居住継続に関する合意が成立していないのであれば、お母様との関係で元奥様が居住権限を有していないと思われます。この場合、お母様から元奥様に対し明け渡しの訴訟を提起し退去を求めることが考えられます。
もっとも、婚姻時に居住を認めていた事情、元奥様が直ちに退去できない事情の有無等によっては、退去を求めることが権利に濫用にあたると判断される可能性も残る事案かと思われます。
ありがとうございます。
やはり相談事項①を調停で解決することは無理という判断になってしまいますか?
また、相談事項②について今回の調停のなかで解決は無理でしょうか、訴訟をしないとだめでしょうか。
相談事項①
元奥様が退去方向での話合いに応じない場合、調停でこちら側の意思沿った解決は難しいと思われます。
また、先にも書きましたが、離婚調停条項に書かれているのはあくまで「再協議義務」だと考えられますので、ご相談者様が退去を求める訴訟を提起しても、認められない可能性が高いと思います。
相談事項②
建物の所有権を有しているのはお母様ですので、お母様の所有権に基づいて退去を求める場合、お母様が手続きに参加する必要があります。
今回の調停はあくまでご相談者様と元奥様の間の調停ですので、お母様が当事者となった手続きをご検討いただく必要があるでしょう。
新しく調停、訴訟を申し立てるほか、(できるかどうかの確認は必要ですが)現在の調停手続きにお母様に参加してもらう方法などが考えられます。
http://www.ac-choutei.jp/information/information02/index08.html
氏家様
大変参考になりました。
ありがとうございます。