ネット掲示板に書かれた誹謗中傷への対応について(書き込み内容は削除要請済み)

先月の後半ネット掲示板に、私にたいしての誹謗中傷を書き込まれました。
掲示板のスレッド名は特定の風俗店の店名のものです。
内容は2回に分かれており投稿者はIDが違うため別人の可能性があります。
内容は「○○ってどのヘンにタトゥーあるの?」「背中一面」です。
ネット掲示板の管理者の方へ削除依頼は出しており書き込みから10日で削除されました。
また、管理者の方からは投稿者を特定したい場合には弁護士さんから問い合わせていただければプロバイダ責任法に基づき対応する旨のメールを戴きました。

風俗店にご来店されるお客さんはタトゥーを嫌う方も多く、ネット掲示板の書き込みを参考にして女の子を指名される方も多くおります。
また背中一面という表現は反社会的組織の方を連想させるため非常にマイナスです。

18才の誕生日を迎えてから現在まで4か月間、週2日ほど風俗店に勤務しております。
親に頼ることもできない状況のため、家賃・光熱費・学費等は全て自分の収入から捻出しており、
生活は風俗店勤務での収入の上に全てが成り立っております。
その収入もコロナ禍で風俗店を利用されるお客様が減っている状況で日々の支払い等は常にぎりぎりの状況です。
そのため書き込みが削除されるまで指名が減るんじゃないかと不安で眠れない日々が続いておりました。

この内容の場合に相手を特定することと、その相手から誹謗中傷にたいしての慰謝料を請求することは現実的に可能でしょうか?
また可能な場合に弁護士さんにお支払いする費用を上回る額になるでしょうか?
よろしくお願いいたします。

一般論としては、口コミは商品購入者やサービス利用者に対して当該商品やサービスを購入・利用するにあたっての判断材料を提供するという点で有益性が認められますので、基本的には投稿内容が真実なのであれば、よほど表現が酷い場合でないかぎり、いわゆる公共性及び公益性の要件も満たすものと考えられ、名誉毀損としての違法性が阻却されるように思われます。

ですので、仮に名誉毀損に基づく慰謝料請求等を行った場合であっても、仮に背中一面にタトゥーがあるのであれば、相手方から名誉毀損の違法性阻却の3要件(公共性・公益性・真実性)を満たしていることを理由とする反論が提出される可能性が十分あるように思われます。

いずれにせよ、慰謝料が認められない可能性や相手方に資力がない可能性があり、慰謝料が認められて相手方に資力がある場合であっても弁護士費用等を支払うとほとんど手元には残らない可能性も高いように思われますので、基本的にインターネット上の名誉毀損に基づく慰謝料請求について弁護士を立てる場合は費用倒れになる可能性が十分あることを覚悟する必要があります。

なお、ご存じかと思いますが、弁護士費用の敗訴者負担制度がない日本においては、不法行為の場合の10%相当額を除いて、話し合いで解決できる場合は別ですが、訴訟になった場合に相手に弁護士費用を負担させることはできません。法的手続や弁護士の手を借りて権利を実現するためには被害者であってもお金がかかりますので、基本的に弁護士費用保険等に加入している場合でないかぎり、経済的に元通りの状態に戻すことはできないと考えていただいた方が良いかと存じます。