退職済みの会社への未精算分の経費請求
【相談の背景】
昨年12月で会社を退職したが、働いていた際の未精算の経費あり。昨年8月から12月までの期間のもので、出張やその他業務に必要なものに使用した費用で、金額としては150万円程度。今月になり経費精算処理を行い会社に送付したが、以下の通りに連絡が来た。
「こちらの書類に関しまして、すでに退職の時までにご提出を頂いていたのが全てとこちらでも判断しておりましたので、今回頂いた分は対象外となります。(また、ご退職後すでに3か月近くも経過しております)」
退職時には未精算の経費があることは伝えていて、体調が良くなった頃に精算させてもらう旨は伝えていました。
その会社の労働環境は悪く精神を病んでの退職で、ブラックな側面が多くある会社でした。
自身で確認した所、【業務・出張時等にかかった費用は「商行為」にかかる費用となり、当該費用の消滅時効は商法522条において5年と定められています。そのため、5年以内であれば請求が可能です。】との内容の記載を見つけたのですが、さらに調べると商法522条が改訂?されている?との記載も見つけました。
【質問】
この場合、法律的な根拠を元に未精算分の経費を請求し、早急に支払って貰うことは可能なのでしょうか?またその為には、どう行動すれば良いのでしょうか?教えて下さい。
お困りの状況、拝見いたしました。
法律上の根拠なく、こちらの損失の元、相手方が利益(これを「不当利得」といいます。)を得ているといえる場合には、得た利益を返還するように求めることができることになっております。
今回も、ご相談者様が義務なく費用を立て替え、代わりに会社が利益を得ている状態であることを踏まえれば、会社は立替経費相当分について、不当利得があることになりますので、この分の返還を請求することは可能です。
ご心配されている時効については、請求可能な時点から5年となりますので(民法166条1項1号)、現時点ではまだ、ご請求は可能かと思慮いたします。
相手方の主張は、あくまで内部処理の都合や相手方の認識にすぎないものであり、法的な支払い義務自体を否定するものではありませんので、まずはこうした点を指摘し、直ちに支払うように請求をされてよろしいかと思慮いたします。
相手方が任意に支払いに応じない場合には、より請求の強度を上げるべく、代理人を通した交渉による方法や、訴訟提起なども手段として入ってくるかと思われます。