賃借名義変更再契約拒否に関する対応

賃貸借名義変更に関する相談です。

【相談】
再契約拒否に対する対応
┗先方の再契約拒否の合理性
┗家賃の供託等の対応を含め再契約せず居住し続けることが可能か
 その際の法的諸問題
┗転居費用を請求できるか

【状況】
・勤務している法人の借上社宅契約にて2年間居住
・3/31に法人契約を解約、4/1から個人契約の話を進めている
・申込を行い、保証会社及び管理会社の社内審査は通っている
・契約書の内容について、民法621条の範囲を超えた特約が示された
┗相場より高額なクリーニング代(20㎡で35,000円+税)
┗賃借人の故意過失の場合経年劣化を考慮せず全額弁償しなければならない
・法人契約時は了承し契約していた
・個人での再契約において特約の削除を求めたが先方は一切の拒否
・特約を認めないなら再契約はしないとの主張

よろしくお願いいたします。

基本的な考え方として、法人名義の賃貸借契約と、新たに結ぼうとされている個人名義の賃貸借契約は、別契約ですので、更新類似と捉えて借地借家法上の保護等を及ぼすことは難しいように思われます。

ですので、貸主としてはあなたと契約するか否かは自由ですので、特約を認めないなら契約しないという先方の言い分は問題ありませんし、あなたが契約せずに居住し続けた場合、先方としては法人名義の賃貸借契約の規定に従って法人に対し損害賠償請求が可能であり、法人はあなたに対して求償してくることが考えられますので、法人契約解約後に個人契約せずに居住し続けるという選択は避けるべきかと存じます。また、転居費用についても、少なくとも貸主に請求できる根拠はないように思われます。

契約の具体的な内容を拝見していないので断言はできませんが、消費者側に過重な負担を強いる特約については消費者契約法等で無効としうる可能性もありますので、場合によってはいったん特約を認めて個人名義で契約した上で退去時に消費者契約法等を根拠に交渉するという手もありうるかと存じます。