法定更新前の家賃を遡っての請求
住んでいるアパートの家賃値上げを言い渡され納得できずに法定更新ということ形で契約していました。しかし管理会社側から値上げ後の家賃で契約を更新するように何度も催促され、キリがないので値上げ後の家賃で更新を匂わせたところ、法定更新した時から今日までの差額分を遡って払えと言われました。
そんな主張が通るのでしょうか。
周辺地域の賃料相場を示す資料はどういったものを用意すればよいのでしょうか。
また、それは一般人でも入手できるものなのでしょうか。
管理会社側の主張が通るかどうかは、①租税負担の増加、②不動産価格の上昇、③その他の経済事情の変動、④周辺地域の賃料相場の変動により、もともとの家賃が不相当になったといえるかによります（借地借家法３２条１項）。
仮に裁判になった場合、管理会社側の家賃値上げが正当であると裁判所が認めたときは、あなたは遡って差額分＋年１０%の利息を支払う義務が生じます（借地借家法３２条２項）。
ですので、管理会社側の家賃値上げを正当化する事情がある場合は、遡って差額分を支払えという管理会社の主張は必ずしも不合理ではありません。ただ、その場合であっても、あなたとしては「過去の差額分について請求しないのであれば家賃値上げに応じてあげる」と交渉するのは自由です。
一方、もともとの家賃が不相当になったといえるような事情がない場合は、そもそも管理会社側の家賃値上げは不当なので、家賃値上げに応じる必要はないですし、もちろん遡って差額分を支払う必要はありません。
管理会社側がなぜ家賃値上げを主張しているのか明らかではありませんが、あなたとして家賃値上げに応じたくないのであれば、管理会社側の家賃値上げが不当であると考えている旨を、具体的な根拠（たとえば周辺地域の賃料相場が変わっていないか、むしろ下がっていること等）を示して伝えることが考えられるかと思います。