婚姻費用について(私立)

私立における婚姻費用は「私立にかかる費用-婚姻費用に含まれる公立の学校教育関連費」の差額分が超過分として婚姻費用に増額されることまでは理解しています。
そこでなのですが、以下、2点について教えていただきたいです‥

① 差額の出し方
算定表を基に婚姻費用が決められる場合、例えば公立高校であれば平均世帯年収約756万が考慮されていると思います。
仮に世帯年収1260万だとした場合(平均世帯年収の約1.6倍)、差し引かれる公立学校の学校教育関連費は41万であると、金額の補正は行われるものなのでしょうか。
平成26年の大阪判例(大阪高等裁判所平成26年(ラ)第595号同26年8月27日決定)では金額の補正がされているという記事を見つけました。
交渉内容になるのか、それとも一般的には補正されるものなのか、判断がつきません。。

② 按分方法
収入按分となるのでしょうか、それとも上記大阪判例を基に折半となるのでしょうか

見解は様々だとは思うのですが、ご経験やその他判例等どういった形でも構いません。
先生方のご見解を頂けると助かります。
自分ではよくわからないので・・
どうぞ宜しくお願い致します

① 差額の出し方
 要するに、算定表で考慮されている教育費が公立学校の場合の教育費より高くなるので、単純に<負担する私立学校教育費-公立学校教育費>を加算するのではなく、<負担する私立学校教育費-算定表で考慮されている教育費>と修正することになります。
 このように修正すること自体は一般的な扱いと言えるので、折り合いがつかずに裁判所が婚姻費用を決める場合も、指摘すえすればその通りに修正されるでしょう。

② 按分方法
 どちらの考え方も成り立ちます。
 算定表は生活費全体を基礎収入に応じて分担するという発想で作られているので、基礎収入で按分となっておかしくはないです。
 他方で、超過した教育費は子どものための費用なので夫婦で公平に折半だという考えも成り立ち、そのような判例もあります。
 按分の方が不利な側が等分にすべきだときちんと主張しておかないと、按分で処理されると思います。(私の経験上も、等分にすべきという主張が明確に出なかったケースだと、裁判所も機械的に按分処理にしていた印象です。)

松本哲泓『〔改訂版〕婚姻費用・養育費の算定-裁判官の視点にみる算定の実務-』(新日本法規)147頁
「婚姻費用についても、養育費と同様に、追加部分は、基礎収入の比で按分するとの考え方もある。この方法では、基礎収入の割合が一方に偏る場合、一方が、追加部分の多くを負担することになるが、婚姻費用の場合、権利者義務者の基礎収入を合算して生活費指数で按分するところ、権利者、義務者とも生活費指数は同じ100なので、それぞれの生活費部分は、同額のはずである。そこで、追加部分を基礎収入で按分すると、生活費部分について公平でない結果が生じる。そこで、分担割合は、等分とするのが公平であると思われる」

加藤先生
丁寧で、その根拠までご説明いただき、とても分かりやすかったです
ありがとうございました