不妊治療で胚の紛失、病院の対応は妥当かと損害賠償の可能性

夫婦で不妊治療を受けています。
採卵を行い、通常媒精(ふりかけ法)で受精を行いました。
その結果、6個の胚盤胞(5日目胚盤胞が5個、6日目胚盤胞が1個)ができました。
病院からは写真データ付きで、6個が胚盤胞になったとの連絡を受けました。
病院から胚盤胞完成の連絡を受けた約1時間後、妻に病院の培養士から電話がありました。
その電話で、
「凍結作業中に胚が見つからなくなった」
という説明を受けたと聞いています。
後日、院長から直接説明と謝罪を受けました。その際、培養士と思われる人物も同席していましたが、説明は院長のみでした。
説明内容は、
「クライオトップというストローのような物を使って薄い層のフィルムの上に受精卵を乗せて凍結する場所に入れる作業をする際に顕微鏡に少し接触した為、フィルムが跳ねて受精卵が反動で飛んでしまい見つからなくなってしまった」
「人が行う作業なので100%間違いが起きないとは言えない」
「めったに起こらないが、起きてはならないことが起きてしまった」
病院としては、
「6個分の培養・凍結費用の保険負担分として約5万3千円を返金する対応をしたい」という提案でした。
私はその場で返金を受け取らず、
「一度考えさせてください」
と伝えて帰りました。
この説明は相手に許可を取った上で録音しています。
紛失した胚は6個中、一番グレードが良かった4BAの胚盤胞(6日目胚盤胞)1個でした。
病院から届いたデータの妊娠予測では66%でした。
残りの凍結胚は以下です。
・4AB(66%)
・4AC(56%)
・4AC(41%)
・4BB(42%)
・4BC(38%)
※妊娠予測の数値は病院から説明されたものです。
現在持っている(手に入る予定の)証拠は以下の4つです
・院長説明時の録音
・病院が作成予定の事故経緯等の書面
・胚盤胞の写真データ
・胚のグレード一覧
弁護士の方に以下についてご意見を伺いたいです
① 病院側の対応(約5万3千円返金)が妥当なのか。
② 胚盤胞を凍結操作中に失ったことについて、民事上の損害賠償や示談交渉の余地があるのか。
③ 交渉する場合、どのような主張や資料が必要になるのか。
④ 返金を受け取る場合に、合意書などで注意すべき点はあるのか。
⑤ 今後の採卵・培養・凍結工程で、今回関わった培養士を自分たちの治療に関与させないよう求めることは可能か。

どうかよろしくお願いいたします。

1 結論
ご相談者様ご夫婦が今後、この病院とどのようにお付き合いしていくかについてもう少し検討する必要がありそうです。
また、ご事情にもよりますが、金額については増額の交渉の余地がありそうです。
2 理由
グレード4BAの胚盤胞が失われたということで、病院への不信感や失望のお気持ちがあろうかと存じます。他方で、「今後の採卵・培養・凍結工程で、今回関わった培養士を自分たちの治療に関与させないよう求める」ご意向があるのであれば、今後この病院での不妊治療を継続するお考えがあるように思われます。仮に、今後もこの病院での不妊治療を継続するのであれば、解決の方法として訴訟は選択しづらく、交渉ベースでの解決が望ましいでしょう。
その上で、病院の提案内容を検討すると、約5万3千円の内訳は、6個分の培養・凍結費用の保険負担分とのことですから、今回失われた胚盤胞のみならず、維持されている5個分の胚盤胞についても病院負担としており、この点は病院の譲歩部分と評価できるでしょう(診療報酬点数K917参照)。
他方で、4BAというグレードが高い胚盤胞の移植が叶わなくなったことについては、慰謝料を主張したいところです。この点、ご相談者様ご夫婦、特に奥様のご年齢は、主張内容に影響を及ぼす要因となるでしょう。すなわち、加齢による妊孕性の低下や治療開始時43歳未満という保険適用の制約からすれば、ご年齢が高ければ(一つの基準としては40歳、43歳でしょうか)、グレード4BAの胚盤胞を移植することができなかったことについての精神的苦痛の程度がより大きくなると評価できるからです。
このように見積もられる慰謝料の金額が病院の譲歩部分よりも少ない、とはなかなかいえないでしょう。そうすると、金額については増額が見込まれるます。

以上述べましたが、不妊治療における通院頻度、通院のタイミングの限定性や診察、侵襲等の身体への負荷等の様々な負担は、相当程度女性側の方が高いでしょう。奥様が(文面からご相談者様はご主人様と拝察しております。)この病院で不妊治療を継続されるご意向があるのか、をよく確認することが適切な解決に向かうためには重要だと考えます。

丁寧な回答を下さりありがとうございますm(__)mご推察の通り私は夫です。私の年齢は34歳で、妻は30歳です。この病院が私たちの住んでいる場所から1番近く(それでも1時間半かかります)、この病院以外に行くには色々と犠牲が大きい為転院の意思は無い状況の為訴訟まではしない方がいい事がよくわかりました。今後は問題を起こした培養士の方が私たちの治療に関わらないよう要望していきたいと思います