インタビュー | 宮田 聖也弁護士 弁護士法人富士パートナーズ 富士パートナーズ法律事務所

――弁護士を目指した理由を教えてください

法律という専門知識を駆使して悩んでいる人を救いたいという思いからです。

本格的に弁護士を目指し始めたのは、大学2年生の頃になります。
いよいよ進路を決めようというときに、「自分は将来どんな人になりたいのだろうか」と考えたんです。
その時、「そういえば自分は、中学、高校、大学と人生の節目で、色々な人に助けてもらってきたな」と。
苦しかった時に友人や家族に支えてもらい、精神的にすごく楽になったんです。
「いままでたくさんの人に支えてきてもらった分、今度は自分が誰かの支えになりたい」。
そう思うと、進路の先に自ずと弁護士が視界に入ってきたんです。


――いまは忙しく動き回る弁護士として躍動しています。

労働事件、交通事故、刑事や離婚など幅広い分野にコンスタントに取り組んでいます。
個人的に思っているのは、弁護士として、あえて専門分野はつくりたくないということ。
分野に縛られず、多角的な視点から事件と向き合うことで、依頼者さまのメリットを最大限引き出せる解決策を提案できると思っています。

多様な分野で多くの事件を担当するのは、大変なこともあります。
でも、学生時代に野球やテニスなどのスポーツに励んでいたので、体力には自信があるんです(笑)。
だから常にフルスロットルで突き進んでいます。

――印象に残っている事件はありますか？

元従業員が、会社に対して800万円の損害賠償を請求した事件が印象に残っています。
私は会社側の代理人として、元従業員である相手方と交渉を進めていました。

損害賠償請求の理由は、勤務中の事故だったためです。
事故によって相手方が負傷し、それに対する賠償金として会社側は800万円を請求されました。


――会社側としては800万は高すぎると。

勤務中の事故なので会社側にも過失はあったんです。
とはいえ800万円は大金で、少しでも減額したいと。
でも裁判になれば、解決までに年単位で時間がかかる可能性があります。
そうなると会社の運営に影響がおよび、大きな損失につながるかもしれません。

一方、相手方は、身体にダメージを負うという被害に遭っています。
金銭でしかるべき責任をとってほしいと思う気持ちも、よくわかるんです。


――どのように双方の妥協点を見出していったのですか？

まず、会社側の代理人として、悪かったところを認め、誠意を込めて謝罪しました。
相手方にしっかりと向き合い、「どうしたら納得していただけるのか」、内に秘めた相手方の想いを引き出すよう努めたんです。

もっとも最初はなかなか心を開いてくれませんでした。
でも諦めませんでした。
粘り強い交渉の結果、最後は腹を割って話し合えるまでに。
その結果、600万円もの大幅な減額に成功。
裁判にもならず早期決着できたので、依頼者様にはとても喜んでもらえました。

交渉をまとめるには依頼者様はもちろん、相手方の気持ちを知ることも大切です。
このケースでは、双方の気持ちに寄り添った結果、金額だけでない責任の取り方も考慮していただけたんだと思います。

――残業代請求も多く担当されているとか。

残業代は、請求をされる会社側、請求する労働者側、両方の弁護経験があります。
多いのは会社側につくことです。

以前担当した事件では、250万円請求されていた残業代を200万円に減額したことがあります。
実は残業代請求は、タイムカードなどの勤怠記録が残っているので減額はとても難しいんです。
そんな中でも50万円減額できたのは大きな成果だと思っています。


――どのように減額したのですか？

地道な作業を怠らなかったことが「勝因」でしょうか。
具体的には、タイムカードに記載されている時間で本当に働いていたのか会社側から従業員に聞き取りをしてもらったり、勤務状況に関する大量の資料を取り寄せて精査したり…。
「どこかに残業代を削れるポイントがあるかもしれない」と徹底的に調べました。

日々の勤務状況を確認し、残業代を計算する。
非常に根気のいる作業です。
その結果、実働時間とタイムカードの誤差を発見しました。


――華やかなイメージもある弁護士ですが、その裏では地道な作業もこなしているのですね。

私に関しては全然華やかなんかじゃないですよ（笑）。
でも地道な作業の先にこそ、依頼者さまの幸せにつながる結果があると確信しています。
逆にいえば、そうした作業を怠ると、依頼者様の得るべき最大限の利益を逸してしまうことになる。
そんなことはあってはなりません。
だからこそ、どんな事案でも手を抜くことなんて絶対にできないですよ。

――弁護士としての信念を教えてください

一つひとつの事件にスピーディーかつ、全力で取り組むことです。
これは依頼者さまと信頼関係を築くためにも、非常に大切なスタンスだと考えています。

「弁護士に依頼をしたのに連絡が来ない」「進捗が遅い」「対応がぶっきらぼうだ」など、依頼者さまに不安や不満を抱えさせるようではプロ失格です。
密に連絡をとり、打ち合わせも頻繁に行う。
そうやって、労を惜しまず、タイムリーにコミュニケーションを取ることで、依頼者さまとの信頼関係も強固なものになるはずです。

あとは依頼者さまのお気持ちに寄り添い、とにかく話を聞くことですね。
私自身、人と話すのが好きですし、こんな感じでフランクでもあるので。
もちろん法律の力を使っても、できること、できないことがあるのは確かです。
そこは法律のプロとしての見解を正直にお伝えした上で、依頼者さまにとっての最善策をズバリ提案するようにしています。

それからもうひとつ。
いつも私を支えてくれているパラリーガルの皆さんには本当に感謝しているんです。
仕事をお願いするときも、状況を見て丁寧にわかりやすく指示するよう心がけています。


――周囲への感謝も忘れない、とても素敵です。

私たち弁護士の仕事は、弁護士とパラリーガルが共同で作り上げる「作品」のようなものだと思っています。
これは私の好きな野球漫画「ダイヤのA」に出てくるセリフの受け売りなんですけどね(笑)

良い作品を作り上げる。
それはイコール、依頼者さまの幸せにつながる。
だからこそ、パラリーガルに仕事を依頼するときは、そこにどんな意図があるのかをしっかり伝えるようにしています。
そうすることで共通認識がより高まり、チームが一体となり、パラリーガルと弁護士が同じ目標に向かって走れるはずなんです。

――弁護士としてどのように中長期を見据えているのですか？

法人の方も個人の方も、何か困ったことがあったら「とりあえず宮田に相談してみる？」と思ってもらえるような弁護士になりたいですね。

ありがたいことに過去の依頼者さまが、次も私にお願いしたいとリピートでいらしてくださることもあるんです。
「自分のことを信頼してくれているんだな」ととても嬉しくなります。

どんな事案も、全身全霊で取り組み、最善の結果を手繰り寄せるために尽力するーーそうした積み重ねの先にしか、こうしたサイクルの継続はないと思っています。
弁護士を続けていく限りは慢心せず、一つひとつの事案に真剣に全力で取り組み続ける所存です。