こうの ゆうだい
甲野 裕大弁護士
弁護士法人Authense法律事務所 新宿オフィス
新宿西口駅
東京都新宿区西新宿1-3-17 新宿第1アオイビル8階
離婚や相続、紛争の「本質」を見逃さない洞察力。犯罪被害者を支え続けた弁護士の目
Authense法律事務所新宿オフィスで、離婚分野のマネージャーを務める甲野 裕大(こうの ゆうだい)弁護士。
離婚を拒むモラハラ夫との調停では、自宅とともに相手方の提示額の3倍近い不貞慰謝料を手にした実績があります。
当初の倍近い金額で遺産協議をまとめた事件では、徹底したリサーチで事態を打開しました。
膨大な資料のなかから、解決のヒントを探し出す洞察力とはーー。
01 弁護士としてのキャリア
北の大地で踏み出した第一歩。交通事故や犯罪被害者支援に奔走
ーー現事務所に入所する前は、札幌市の事務所にお勤めだったようですね。
札幌で2つの法律事務所に在籍し、計4年ほど働きました。
一般民事から中小企業の顧問業務まで幅広い事件を担当しましたが、とくに多かったのが交通事故です。
全体の5割強を占め、被害者側の弁護をメインに扱ってきました。
それと当時、個人的に強い思い入れがあり、力を入れてきたものがあります。
弁護士会の犯罪被害者支援委員会での活動です。
ーーどんな被害者支援の活動をされていたんですか?
加害者側との交渉の代理人を務めたり、警察への対応のサポートをしていたんです。
また、被害者ご本人やご遺族が法廷で意見を述べる「被害者参加制度」のサポートもそうです。
被害者参加制度では、被害者の方が法廷で自分の心情や意見をお話されることもあれば、ご本人が直接口にするのが難しい場合は代読をすることもあります。
その活動を通して、大事な家族を殺されたご遺族、性犯罪に遭ったお子さんのご両親など、心に深いダメージを負った方々とお会いしてきました。
ともすれば目を背けたくなるような事件に向き合い、少しでも被害者のお気持ちに寄り添おうとした経験は大きな学びになりました。
これらの経験から、そういった事件だけではなく、ほかのご依頼をお受けするうえで、依頼者の方に親身に寄り添う姿勢が大事であるという心構えにつながっていると考えております。
02 得意分野と解決事例①
離婚拒むモラハラ夫との調停。自宅とともに相手方提示額の3倍近い慰謝料を獲得
ーーAuthense法律事務所に移籍後、現在はどんな事件を多く扱っているのでしょう?
新宿オフィスとしては、とくに離婚・男女問題と相続に関するご相談が多いですね。
離婚関係は、2019〜2020年の2年間に事務所全体で約3,500件のご相談を受けた実績があります。
ただ、離婚と一口に言っても内容はさまざまです。
離婚そのものに加え、財産分与や親権など付随する問題がたくさんあるんです。
複雑に絡み合う問題をまとめて解決するのは、決して簡単ではありません。
ーー過去にそういった事件を何度も経験されてきたんでしょうか?
例えば、離婚に応じない夫との離婚を成立させるとともに、自宅や十分な慰謝料も手にして終わった事件がありました。
ご依頼いただいた女性は夫のモラハラに苦しんでいらっしゃったんですが、そんな最中に夫の不倫が発覚し、離婚を決意されたそうです。
最初はご自身で調停に臨んでいたんですが、思うように進まず、途中でご相談をいただいたんです。
ーーなぜ思うように調停が進まなかったんでしょうか?
大きかったのは、相手方や調停委員とのコミュニケーションの行き違いでした。
例えば、ご自宅の問題です。
依頼者さまは、幼いお子さんのために残しておきたい一心で、そのためなら残っているローンをご自身で支払う覚悟をお持ちでした。
ただ、そうした真意がどうもうまく相手方に伝わっていなかったようなんです。
そこで私が相手方との間に入ってしっかり伝えたところ、最終的には相手方の態度が変わり、依頼者さまが残りのローンを返済する条件で自宅を譲ることに同意を得ることができました。
それと、不倫の慰謝料です。
これについても当初、こちらの請求額に相手方は難色を示されました。
ただ、分割で払えることや、裁判になれば相手方の主張する金額が過去の裁判例に照らして認められない可能性が高いことなどを交渉材料に、粘り強く交渉を行いました。
そして、最終的には相手方が主張していた金額の約3倍の慰謝料を手にすることができたんです。
夫のモラハラに不倫、そして思い通りに進まない調停。
そんな三重苦ともいえる状況に、依頼者さまとしても精神的に大変お辛い状況であったので、なんとか少しでもご要望に近づける結果を出せてよかったと思っています。
ーー離婚問題については、新宿オフィスのマネージャーも務めていらっしゃるようですね。
個々の事件対応に加え、事務所全体の底上げにも力を入れています。
具体的には、毎月弁護士とパラリーガル(法律事務員)とミーティングを開催し、離婚分野としての課題などについて議論をしたり、過去の裁判例や解決事例を共有・分析するなどしたりしています。
また、弁護士間で勉強会を開催するなどして、個々の弁護士の知識・経験の底上げを目指しています。
さらに、支店をまたいでそうした過去の事例をデータベースにまとめています。
過去の教訓を事件解決に活かすためです。
一人ひとりの弁護士のスキルだけでなく、チーム力も私たちの大きな武器なんです。
03 得意分野と解決事例②
当初の倍近い額で遺産協議が決着。徹底調査と、本質を逃さない洞察力
ーー相続についても、過去の解決事例をぜひお聞きしたいです。
相手方から当初提示された金額の倍近い額を相続することで合意できた事件があります。
問題の発端は、母親を亡くした依頼者さまのもとに父親から届いた書面でした。
そこに記入されていた依頼者さまに譲渡される金額が、かなり低かったんです。
実際、調査をすると不審な点がどんどん出てきました。
ひとつは、不動産の評価方法です。
相手側は「時価」ではなく、金額が安く出やすい「路線価」で評価していたんです。
こちらで簡易査定を行って比較したところ、やはり先方からの提案額が安く抑えられていることがわかりました。
ーー「時価」と「路線価」で大きく違ってくるんですね。
不動産以外にも、預貯金や有価証券、保険に漏れがないかどうか、またお母さまの過去の言動やご自宅の郵便物なども洗いざらいチェックしました。
すると今度は、先方から提出された財産目録の預貯金の金額と、実際の金額が異なることが判明したんです。
それだけではありません。
相続開始の前後で数百万円にも上る使途不明な出金があったこと、相手が生命保険金を受け取っていたことも明らかになりました。
生命保険金については原則として受取人の財産となるので遺産に入らないこともあるのですが、遺産に入るか入らないかは、生命保険金の受取金額などから判断することから、そもそも生命保険を受け取っているかどうかという点を把握することが重要になります。
そうした数々の疑念を追及しながら、相手方と交渉した結果、当初の倍近い金額で協議をまとめることができた事件でした。
ーー徹底した調査が決め手になった事件に見えました。
一言でいえば、目標とするところは、「本質を見逃さない洞察力」といえるかもしれませんね。
この仕事をしていると、事件に関わる大量の資料を読み込むようなことがよくあるんです。
ただ、単に時間をかけて読めばいいわけではありません。
どこに解決のカギが隠れているか、隅々まで目を凝らし、ヒントを探し出す洞察力が求められます。
人によっては途方に暮れるような作業だと思いますが、私はそれを余り苦に感じたことはありません。
以前の事務所で交通事故を重点的に扱ってきたので、日常的に病院のカルテや検査画像など膨大な記録を読み込んでいたからです。
そこから重要な手がかりを見つけ出し、交渉や裁判を有利に進めるーー。
そうした立証活動には得意意識があります。
04 弁護士としてのポリシー
切実なSOSの声を社会に響かせる拡声器に。依頼者のために全力を尽くす
ーーそれは相続や交通事故に限らず、どんな事件を扱ううえでも大事になりそうです。
私の根底にあるのは、依頼者さまのご希望を叶えるために最善を尽くす、という気概です。
相手のいることですから、ときには結果が伴わないこともあります。
それでも、いい結果を手にするためにあらゆる手段を検討し、最後まで全力を尽くすことが私たちの使命なんです。
それは、当事務所が大事にしているポリシー(「全ての依頼者に最良のサービスを。」)でもあります。
また、私たちが掲げているいくつかの理念のうちのひとつに、「Never Give Up」があります。
どんなに困難な状況でも、決してあきらめることのない強固な意志を貫く。
そんな思いから生まれたものです。
ーー「依頼者のために」という思いが人一倍強いんですね。
「困っている方々の役に立ちたい」という一心で足を踏み入れた世界ですが、事件を重ねるごとにやりがいや役割の重要性を強く感じる日々です。
同時に、当然悔しい思いをすることもたくさんあり、それをバネにして日々研鑽に励んでいます。
過去の話になりますが、私は高校・大学と吹奏楽部とオーケストラ部に所属し、ずっとトロンボーンを演奏していたんです。
決して目立つ楽器ではありませんが、調和をもたらす縁の下の力持ちとして、重要な脇役を担ってきました。
そんなトロンボーンのように、依頼者さまをそばで支え、切実な声を社会に響かせる拡声器のような存在になりたいですね。
ひとりでも多くの方のお役に立てるように、これからも粘り強く一つひとつの事件に向き合っていく覚悟です。