以下のような訴状の誤りは弁護士の通常業務範囲に含まれるか?

このたび民事訴訟を起こすことになり、弁護士より送達した訴状を頂いたので確認したところ

①脱字部分を手書きで修正
②証拠である薬品名を間違っている
③証拠のナンバーが入らないまま甲号証のハンコが押されたままになっている
④当方原告が作成したスクリーンショットの証拠が縦長や横長に印刷され、文字が間延びしている(読めないことはない)

といった箇所がありましたが、弁護士の仕事としてこれは通常範囲内でしょうか。
知人にお願いしたなどという訳でなく、委任契約を結び報酬を支払っております。
プロのご意見お聞かせ頂けますと幸いでございます。

①は完成物に関するこだわりがあまりになさそうな印象、②は単純誤記であればあり得る事態、③は事情が不明、④は画像編集や印刷等の技術的問題による可能性もある、という印象です。現物を拝見しないと何とも言えないところもありますが、いずれにしても、提訴前に提出予定書類一式について依頼者の確認を経ていなかったのであれば、それ自体が通常ではないと思われます。

高橋先生、ご回答頂きありがとうございます。
訴状と証拠説明書についてはこちらが何度も目を通して、誤字脱字や原告被告逆など指摘し直したのですが、
証拠をどのような形で提出するのかは見ておらず、送達後にこちらから控えが欲しいとお願いしてもらったという状況です。

通常は提出前に証拠も全て依頼人が目を通すのでしょうか?

>通常は提出前に証拠も全て依頼人が目を通すのでしょうか?

私見ではそれが通常だと思います。

高橋先生、ありがとうございます。
度々の質問で恐縮ですが、訴状送達後に当方代理人が被告に下記のような旨のメールを送信した、と事前確認もなしに事後連絡がありました。

「訴状送達したので速やかに受け取らない場合には就業場所に送達するよう上申する。貴殿もこれで被告だ。自身の行いに恥じることがないと考えているなら就業先コンプライアンス部門に照会する。」

代理人のこういった勝手な行為が裁判に影響しないか案じております。
このような行為を事前確認なしに行うのは、多くの弁護士にとって通常でしょうか。
よろしくお願いいたします。

>このような行為を事前確認なしに行うのは、多くの弁護士にとって通常でしょうか。

通常ではないと思います。

高橋先生、どうもありがとうございます。

他の先生もご意見頂けますと幸いでございます。

結論としては、現時点で致命的(懲戒請求をするような)ミスではないとは思いますが、少し不注意な点が目立つので今後書面を質問者様の方で確認する際は、形式も含めよく確認された方がよいと思われます。

以下一つずつ回答させていただきます。

①脱字部分を手書きで修正
→のぞましくはないですが、時たまあるものと存じます。
通常は、
弁護士が起案
Ⅰ依頼者に内容の確認
Ⅱ弁護士が誤字脱字等を確認
Ⅲ念のため事務員が確認
Ⅳ提出
の流れになりますので、どこかの段階で気が付くことが多いです。仮処分等緊急性が高い案件では提出時に裁判所窓口で修正して受理してもらうということはありますので、その場合は責められない部分もあるかと思います。

②証拠である薬品名を間違っている
→こちらは①のⅠかⅡの段階で修正しておくべきでしょうね。よくわからないならば弁護士としては依頼者にこちらの薬品でよいですかと聞くべきではあると思います。他のミスに比してこれは内容に関するミスなので、今後はよく確認いただいた方がよいと思います。

③証拠のナンバーが入らないまま甲号証のハンコが押されたままになっている
→形式ミスですね。不注意ですが、訴訟の勝敗に直結するわけではないものと思います。

④当方原告が作成したスクリーンショットの証拠が縦長や横長に印刷され、文字が間延びしている(読めないことはない)
→こちらも③と同様であると思います。

以上のとおり、①~④も訴訟の勝敗に直結するものではないと思われますので、致命的なミスではないと思います。
もっとも、形式面も仕事の完成物として当然確認すべきでありますので、今後は気を付けるように弁護士にお伝えいただいてもよいと思います。

渡邊先生
ご回答いただきありがとうございます。
裁判の結果に直結するミスではないとのこと、安心いたしました。

また訴状送達後に原告である私に事前確認なく被告に下記のような旨のメールを送信した、と事後連絡がありました。
(理由は、任意交渉中に個人的に侮辱されたからとのことです)

「訴状送達したので速やかに受け取らない場合には就業場所に送達するよう上申する。貴殿もこれで被告だ。自身の行いに恥じることがないと考えているなら就業先コンプライアンス部門に照会する。」

代理人のこういった勝手な行為が裁判に影響しないかも案じております。
弁護士のこのような行為は裁判の勝敗に影響すると思われますか?

結論としては、裁判には直接は影響しないとは思いますが、依頼者である質問者様がコントロールできるのかという点はいささか不安があると思います。

あくまでも弁護士は、依頼者の代理人であり、依頼者の意思に反する行動をとることができないというのが大原則です。
上記のとおり、事後連絡をしたとありますが、本来であれば、依頼者である質問者様に確認をして、メールを送るべきものではあります。
そのような観点からすると、勝手にメールを相手方に送り付けるのは通常の対応とは言えないと思います。

また、そもそもそのようなメールを送る必要があるかという点を考えると、就業場所送達は、個人の住所に届かなかった場合、調査をしたうえで、裁判所に就業先上申を行うものです。そのため、送達がうまくいかなかった場合には淡々と対処すればよいので、わざわざ相手方に対して攻撃的な発言をする必要もないかと思います。

これは弁護士のポリシーによるかもしれませんが、確かに弁護士はいわゆる他人の紛争に関与する職業ではありますが、弁護士が紛争にガソリンまいて炎上させるのは社会が求める役割から離れてしまうと思います。そういう攻撃的な弁護士が頼もしいと感じる依頼者様もいるとは思いますが、同じ弁護士や裁判官からは冷ややかな目で見られると思います。

渡邊先生
ご回答いただきありがとうございます。
裁判には直接影響しないとのご意見、安心いたしました。

とはいえ私も同じように、わざわざ相手方に不快を与える必要があるのかと感じておりました。
今後は依頼人である私の了承なしにこのような行為はやめるようお願いする所存です。

このような勝手な行動を理由に、懲戒請求することは可能だと思われますか?

これまでの懲戒事例からすると、今の段階では懲戒請求するのは難しいと思います。
質問者様にも現実的な損害が生じているわけではないため、しばらくは警戒しつつも任せてみるというのもあり得ると思います。
弁護士を変えると再び着手金がかかりますし、事情説明も一から行う必要があるため、書面の中身が許容できるのであれば継続する方がよいのではないかと思います。

渡邊先生
さっそくご助言いただきありがとうございます。
現時点で被告から苦情など来ている訳では無いため、仰る通り様子を見ようと思います。

依頼人である私に不利益が生じた際に対応を考えようと思います。
ありがとうございました。