複数人でインターネット上に個人情報を公開した場合、プライバシー侵害と共同不法行為は成立するのか。

弁護士の先生方へ質問です

①共同不法行為が成立するのは、各自の不法行為が独立して成立していなければならないという要件があるそうですが、たとえばAがBの氏名・所属・住所・顔写真をネット上で公開した場合、その後十数人が名前の一部(たとえば名字)と誹謗中傷にならない程度(○○くんかわいそうなど)の書き込みをした場合、Aには独立してプライバシー侵害が成立するが、その後の十数人には個々の書き込みのみを見れば独立してプライバシー侵害が成立しないので、Aと十数人の共同不法行為が成立しないということでよろしいでしょうか?

②また、十数人の書き込み(名前の一部)自体は、Aの書き込み(氏名・会社名・住所・顔写真)によって誰を指しているのか分かるため、個別にプライバシー侵害が成立し、発信者情報開示請求ができると思うのですが、この理解に間違いはないでしょうか?

回答を心からお待ちしております

インターネットの掲示板を使ったプライバシー侵害は、事例としては新しい事例となりますので、具体的事案によって裁判の結果が変わります。

このことを前提にお答えしますが、
①について 
プライバシーの定義を、私生活上の秘密を公開されない権利、とすると、プライバシー侵害はAの行為によって完了していますので、他のものには私生活上の秘密の公開をしていない限り、プライバシー侵害は成立しません。

②について
A以外の人には、プライバシー侵害は成立しませんが、個別に名誉毀損などが成立する場合は、発信者情報の開示請求等(法4条)を行うことができます。

回答ありがとうございます

先に他の誰かがプライバシー情報を公開したならば、その情報を見て名前などを書き込んでも、プライバシー侵害の要件である「非公知性」がすでに失われているため、プライバシー侵害は成立しないということでよろしいでしょうか?

また、「○○(名字)くんかわいそう」「今度からは○○(名字)くんが一番!かな」(以前より○○【あだ名】が一番!という書き込みがプライバシー侵害を受けた者を指して皮肉げに使われていた場合)という書き込みは名誉毀損に当たらないのでしょうか

ぜひ中尾田様の意見をお聞きしたいです

プライバシー権を、知られない権利と限定すると、おっしゃるとおり既に知られている情報についてはプライバシー侵害に当たりません。もちろん、インターネット上の掲示板などといっても、周知される範囲はある程度限定されていますので、さらに情報を拡散する行為を行った場合は、プライバシー侵害が認められる可能性はあります。事案次第です。

名誉毀損は、事実を適示して行う必要があり、単に論評をしただけの場合は、その人の意見に過ぎないため名誉を侵害する程度は低く他方で表現の自由は保護されるため、よほどの悪意が立証されるなどしないかぎり名誉毀損にあたりません。

具体的事案にもよりますが、かわいそう、一番だけでは名誉棄損にあたらないと思われます。

回答ありがとうございました